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現代ドラマ

鈴子 第五回 広がる付き合い

   

 
「あ、吉岡社長。これはこれは、どうもありがとうございます。」
「その内に、彼とも話をするから。」
「いえいえ、とんでもございません。」

吉岡社長は平身低頭の山形所長の肩をぽんぽんと叩くと、後ろに控えていた俊夫を手招きした。

「ちよっと紹介しよう。孫の俊夫だ。9月から私の秘書をしておる。」
「吉岡俊夫でございざいます。」
「え、ちょっと待てよ・・あ、なんだ、俊夫君か。いやあ、ご無沙汰だね。」
「あ、やっぱり、山形コーチですか?」
「なんだ知り合いか?」
「はい、山形さんは私が中学生の時まで所属していたサッカースクールのコーチをされていらっしゃいました。」
「ははは、あの頃はずっと痩せていたけどね。本当に久し振りです。」
「そうか、それはよかった。俊夫は健一君の3つ下かな。いろいろ勉強させないといけないので、山形さん、よろしく頼みますよ。」
「はい、分かりました。ご案内しましょう。」
「いや、いいよ。あなたも忙しいから。それでは。」
「はい、よろしくお願い致します。」

吉岡社長は返事代わりに「じゃあ」と片手を上げて中に入っていったが、俊夫は「どうもありがとうございます。」ともう一度頭を下げ、社長の後を追っていった。

  俊夫君が秘書になったのか・・

山形所長は感慨深げに俊夫の後姿を追っていたが、「所長!」と呼ぶ声があった。彼も忙しい。「直ぐに行きます。」と受付の方へと歩き出していた。

会場内では大木健一が支援者一人一人に挨拶をして回っていたが、母の雅代は吉岡社長の姿を見つけると、小走りに近寄ってきた。

「吉岡社長、今回の選挙では本当にお世話になりました。社長がいらっしゃらなかったら、どうなっていたかと思うと、ぞっとします。」
「いやいや、亡くなった健之助さんもそうだったが、選挙と言うものは一回、一回強くなるものです。健一君はまだ二回目だ。これからですよ。」

雅代が何度も「ありがとうございました」と頭を下げているところに、大木健一がようやく現れた。
 

 

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