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現代ドラマ

鈴子 第五回 広がる付き合い

   

 
もっと一緒にいたい
 

「パパ、遅いね。」
「今日は大事なパーティやから。」
「いつもじゃないか。それに、全然遊んでくれない。」

長男の智樹は小学校2年生、長女の小百合が幼稚園年長の時、生まれ育った千葉県市川市からこの東京の西部に移ってきた。

その智樹は5年生、小百合は3年生になっていた。

幼かった小百合はともかく、智樹は一緒に入学した友だちと別れ、小学校を替わらなければならなかった。転校した学校では「大木健一、大木健一をよろしく」などと、父親の選挙活動を揶揄するイジメにも遭い、「学校なんか行きたくない!」と泣いて、鈴子を困らせることもあった。

今はそれを克服し、毎日元気に学校に通っているが、心の奥底には傷となって残っている。父親との触れ合いが絶対に必要だ。

だが、父親の健一は忙しすぎて、家でゆっくり過ごす時間が取れない。

「パパも疲れているから、堪忍してね。」
「だけど・・」
「智樹・・」
「あ、苦しい・・」

鈴子は智樹を力一杯抱き締めた。もがくが恥かしそうに笑う、その顔を見ると、鈴子の心が落ち着く。

「ママと遊ぼう。」
「え、でも、ママじゃあ無理だよ。」
「分らへんよ。」
「そうかな・・サッカーできる?」
「サッカーは大好きよ。澤選手のファンだから。」

鈴子はボールを蹴る真似をしたが、まるで様になっていない。

智樹は「もういいよ。我慢するから。」と、鈴子に背を向けてベッドに入ってしまった。やはり、母親では小学校5年生の男の子の遊び相手は務まらない。
 

 

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