幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

現代ドラマ

鈴子 第六回 家族の絆

   

夫は議員会館、鈴子は選挙区の別居生活が始まった。

お産の時以外はいつも一緒に暮らしていた・・鈴子が沈んでいた時、山形所長は「この選挙区の誰もが、鈴子さん、あなたのファンだ。別居は辛いが、議員の家族はこれに堪えなくてはならない。」と励ましてくれた。

夫も慣れぬ議員会館住まいで、嫌いな料亭巡りにも付き合わされていた。

家族の心を繋ぎとめるため、鈴子は子供たちと一緒に健一宛てに手紙を書くことを始めた。健一も議会の合間を縫って電話を架けてくれた。だが、姑との関係はそうはいかなかった。

 

 
山田所長の励まし
 

「それじゃあ、行ってくるから。」
「気をつけて」

毎朝、夫が出掛けるのを見送る。お産の時を除けば、結婚以来欠かしたことがないが、今朝は辛かった。

夫が本当にそれでいいと思っているのか?鈴子は気持ちの整理がついていない。

「ママ、どうしたの?」
「熱でもあるの?」

浮かぬ顔は子供たちにも分ってしまう。

「何でもないですー。早うしないと、遅刻しますよー。」

無理に明るく振る舞ってみたが、子供たちを送り出すと、虚しさから余計に気持ちは沈んでしまう。

「おはよう。」
「おはようございます。」

事務所に顔を出すと、山形事務所長が待っていた。

「鈴子さん、ちょっといいですか。」
「はあ、なんどすか?」

奥の応接に入ると、彼は「我慢するんですよ。」と切り出した。

「あ、あの、何のことどすか?」
「辛いことだけど、議員の家族はこれに堪えなくてはならない。仕方がないことです。」
「あ、いえ、うちは・・」

鈴子は惚けようとしたが、山形所長は続けてきた。

「1週間前に伝えられました。」
「そんな・・」

  知らされていないかったんはうちだけ・・
  あんさん、なして教えてくれへんの?

鈴子は寂しさと疎外感に襲われていた。

 

-現代ドラマ
-, , , , , ,

シリーズリンク

レビュー

この作品はいかがでしたか?
あなたの感想を送って、作家を応援しよう!

レビューを書く

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

おすすめ作品