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ミステリー

探偵の眼・御影解宗の推理 【ぼくらのガーベラ】12

   

 ハッキングした端末の行方を追う警察だったが、所有者を割り出すことからはじまった。

 メガバンクの預金額を強奪した犯人。

 犯行に及んだ時間は5分もかかっていないようだった。盗難したパソコンをそのまま使用し、実行したとみられている。

 氷室名探偵は警察に協力し、侵入したハッカーの追跡を追う。だが、すでにお手上げ状態となっていた。

 氷室名探偵だけはあきらめず頭脳をめぐらせていた。何か手がかりがあるはずだと。

 政木警部や、伯田警部補、黒田刑事とともに全総力をあげて警視庁はこのハッカーを総出で捕らえることに全力を傾けていた。

 そして、預金の行方は…

 

 パソコンとは所有者が誰で、どこで使っているか、セキュリティが施されている。よって、その端末でインターネット犯罪をどのパソコンで使用したか、住所のようにIPアドレスというものが個人を示すナンバーがある。これで所有者を特定できるものである。

 もしこれが盗難によって第三者が手早く処理し、端末を使い捨てたとしたら使用した者を判別するのは困難だろう。

 警察が必死に追跡して所有端末がどこにあるか苦難の末たどり着いたとしても、路地裏に端末だけ捨てられていたということになれば犯人はわからずじまいになってしまう。

 事件も違法行為にあたるため、裁判所から個人を割り出すIPアドレスを法的処置からアクセスログ等をプロバイダに開示請求した。

 所有者を特定するもやはりというべきか盗難されていたということだった。

 盗難してすぐに実行したため5分もかかっていないのだろう。恐るべき手際のよさ。日ごろから慣れているのがわかる。

 使用者は影も残さず消失してしまった。

 そんなことができるハッカーに心当たりがあるのはサイバー犯罪課というわけだが、普段からインターネットを監視しているため、ネット犯罪になりそうな掲示板、つまりサイトだが書き込みなどをくまなく調べている。
 
 

“殺害予告”なんて書いてしまったひには、それだけで逮捕は免れない。
 
 

 監視もインターネットの中での話しではあるが、一歩外に出てしまい他人の端末で実行しているときは“なりすまし”になるわけだが、どこの誰か、足取りにたどり着くことは不可能にちかい。

 すでにお手上げ状態だった。

 氷室だけは何か手がかりがあるはず、と頭脳をめぐらせていた。

 氷室ひむろ 鉄矢ひむろ、36歳。氷室探偵事務所の代表。元は刑事だが自由に捜査できないため能力が発揮できず、そのため自由に捜査ができる探偵という職業に変えた。脱サラで探偵事務所を立ち上げた。日本屈指の名探偵として警視庁からも直接依頼がくるほどだった。

「盗難されたパソコンの解析と捨てられていた附近の防犯カメラを確認します」

 鑑識の男性が言った。

 警視庁の黒田刑事は、お願いします、と鑑識の男性に頼んだ。

「氷室名探偵どうしますか、これじゃ後手のままです」

 黒川くろかわ 公平こうへい、27歳、刑事として成長してきたが、まだまだ次なる手が見えない黒田だった。

「そうだね。銀行のメガバンクを狙っているのだとしたら、三大メガバンクといわれている銀行の残りは二つある。この一つですめばいいが、どうもすべてを強奪して海外にでも逃亡するように思えてならない」

「はい、そうなったら手遅れですね。もう我々にはどうすることも…」

 黒田は意気消沈していた。

「海外の国際警察に依頼しても、おそらく手続きなどで手間取るかもしれないし、もし整形や名義まで変えていたら、どこの誰を捜せばいいものやら…」

 氷室はさらりと想像を膨らませ可能性に自問自答していた。

 黒田刑事は考えただけでもぞっとした。なぜなら預金を預けていたメガバンクが被害にあったからだ。

「どうにかしてください、お願いします」

 必死な黒田刑事を初めてみたように思う氷室だった。残高ゼロでは明日の太陽は昇らない。

「伯田警部補と政木警部が掛け合っている。当面はなんとか困ることのないようにと…、だがこれがもし逃しでもしたら、そのときは…」

 氷室は黒田の肩にポンッと手を置いて口を結んだ。察してもらうしかない。

「そのときは田舎に帰って…って自分は東京出身ですけど」

「そうか、ならきみは後回しにできそうだな」

「いえいえ、それだけは…、優先事項でなんとかお願いします」

 黒田の表情はいっこうに晴れ間がない曇り空の下にいるようだった。

 そこへ政木警部が肩で呼吸をしながら怒りを露わにしながら二人のもとへと近寄ってきた。

「まったく融通の利かない連中ね、どいつもこいつも」

「どうしたのかね、政木警部…顔が恐い」氷室は遠慮なしに女性の顔を宥めるように言った。

 

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