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現代ドラマ

鈴子 第七回 二つの家庭

   

別居生活をせざるを得ない鈴子と健一は家族の絆を強めようと、努力していた。

鈴子は子供たちと共に夫への手紙を書く。夫の健一も時間を見つけて鈴子に電話を架けたり、スケジュールを調整し、息子のサッカー練習にも駆け付けた。

鈴子の親友、水野陽子はそんな二人を褒め、励ましてくれた。

一方、最大の支援者、吉岡産業の後継者、俊夫には危険な影が近づいていた。

彼には触れられたくない過去──ヤンキー女との性的な付き合い──があった。そのヤンキー女がチンピラと一緒に俊夫の前に現れた。
妻に知られたら、家庭は崩壊する・・彼は悩みを抱え込んでいた。

 

 
サッカーグラウンド
 

「鈴子さん、こっちよ。」

午前10時、サッカーグラウンドでは既にママたちが集まっていた。

「おはよう。」
「おはよう。寒いわね。」

大人たちは震えていたが、子供たちは負けずにボールを蹴っていた。

「智樹君、7番のビブスをつけているから、11時の試合は先発よ。」
「まさか、まだ下手やのに。」
「4月には新チームが出来るから、それまでは全員が順番に試合に出るのよ。」

ママ友の米田さんが教えてくれた。

「智樹、頑張るんよ!」

鈴子が大きな声で呼び掛けると、智樹は恥かしそうに右手を上げたが、他のママたちの応援はもっと凄い。

「何をやっているのよ、シュートでしょう!」
「蹴っちゃえ!」

先週配られた「保護者の皆さまへ」という手紙には、「大きな声は子供たちの励みになりますが、監督、コーチがいますので、練習や試合中の指示などはご遠慮下さい。」とあったが、ママたちにはそんなことは関係ない。

「ははは、今日も凄いですね。」
「全く。まあ、俺たちも手抜き出来ないってことだよ。」

監督と一緒に見ていた俊夫も驚いていた。

「吉岡君、ゲームの前にラインを引き直すから、ライン引きに石灰を入れておいてくれ。」
「分りました。」

正式なコーチではない俊夫は裏方を引き受けていた。

 

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