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ミステリー

探偵の眼・御影解宗の推理 【ぼくらのガーベラ】14

   

 御影は暴れまわり、相手を寄せつけなかった。が、杜坂が脅すようにこの場から逃れられると思うなと言い放った。

 そこへ御影の機転をまわす。今朝がたの小柴との連絡のことを口走った。

 杜坂らはたじろいでくれればいいが、輪都誘拐の内容を小柴がどのように考えて判断するか、あてにできるかはわからないが御影は自ら閉塞された現状を突破する。

 推理という武器で杜坂を追い詰める。

 ガーベラという組織のシンボル。その旗のもとに集まった仲間らとともに、杜坂は目的を口にする。

 そして御影に迫る影、輪都は一瞬のことに反応できなかった。

 ガーベラのメンバーは逃亡への道へと動き出す。

 

 御影は暴れまわっていたがどうやら誰一人として近寄ろうとしない。

 ここまで敵意を剥き出しにされては杜坂でも引き気味で近づけなかった。

 めずらしく頭ではなく身体を張っている御影だが、輪都はぼう然と成りゆきを眺めていた。

「俺たちを捕まえられるものか、探偵ごときに…」杜坂は警官で鳴らした柔術がある。それで対抗する姿勢をみせるも、どこかあきれ返っていた。

 無言でその罵りにも動じない御影は周囲にいるガーベラのメンバーに視線を配った。

 一触即発の事態に、「待て、ここから逃げられると思うな」杜坂は御影に掌を見せて抑制する。

「どうかな、俺はもう探偵社の仲間に今朝がた連絡をとっていた。社用車に乗っているときだ。東京で甚大なる事態が起きていることも知っている。一瞬だが背後から忍び寄るおまえたちが現れるまえに通話の途中で無言で切れた回線は、話し相手が不穏に思っているだろう。なんせ輪都が誘拐されたその追跡をしていると話していたからな。すでに探偵社は動いている。東京のメガバンクへのハッキング、そのつながりに氷室名探偵が動いているとしたら? 東京で犯行を実行したという仲間も捕らわれているんじゃないか。ここも発見されるのは時間の問題だろうな、こちらの救出も動き出しているかもしれない」

 輪都はどこか顔がほころんだ。御影と突然通話が切れたこと、自分の状況を話していたということ、気づかない探偵社のみんなではない。

 だがこれは御影のはったりだった。輪都のノートパソコンに発信機が取り付けてあるものの小柴が気づいてくれるかどうか、御影は祈るばかりだった。

「氷室名探偵か…」

 若者たちが動揺していた。その名前に聞き覚えがあるからだ。

「こいつらを捕らえてから、あれからまだ1時間も経っていないですよ」数白が言った。

「日本屈指の名探偵か」杜坂はしかめっ面をした。「きっと警視庁が動くのであれば予測はかすかにあった。数パーセントだけな。だが、こちらとしては計略になんら支障はない」

「そうかな、俺が気づいたということは氷室探偵もかならず気づく。違和感はこちらから投げているからな」

「どういう意味だ?」

「おまえさんだよ、杜坂“元”巡査長…昨日だが、昼間の依頼で民家を訪れて事件を解決した。そのときに感じたことを俺は送っている。この警官は違和感がある。素性と表向きの顔がぜんぜんちがうような気がする。周囲の気のいい田舎で働く人たちは、自分たちのせいでギャンブルに巻き込んでしまったと悔やんでいたが、あんたはもともとギャンブル依存だったんじゃないか。だから今回もメガバンクという組織相手に仲間を数年まえから準備して築きあげてきた」

 御影の推理は杜坂の表情を真剣な顔つきに変えた。

「メガバンクにハッキングしたのはおまえらの仲間だ、東京からどこへ送金させた!」

 御影は吠えまくった。

 ガーベラの花言葉にちなんで集まった志しを汚す杜坂の心情を読みとれない若者たちに変わって、コンクリートの壁に責め立てるように冷たく反響していた。

 

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