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ミステリー

探偵の眼・御影解宗の推理 【ぼくらのガーベラ】15

   

 政木警部らは必死に東京ガーベラズの取り調べを進めるなか、ある特徴に気づいたとサイバー犯罪対策課の捜査員は報せた。

 それはパソコンを使って会話をする毛物井の特徴だった。

 伯田警部補が対面し、問いかける。首謀者とのアクセス記録がのこっていたという証拠だ。

 政木警部らは愕然と項垂れていた。

 すると動揺したのか、思わずつぶやいた毛物井だった。

 首謀者が警官だったことを伯田は毛物井に詰問する。しかし毛物井にとってそんなことはどうでもよさそうに、落ち着きを取り戻し伯田警部補を直視していた。

 自分たちはガーベラの旗のもと集っている仲間。

 その問いは愚問であると。

 

 警視庁の刑事、伯田や政木が必死に取り調べをしているなか東京ガーベラズのメンバーのある特徴のおかげで証拠となる事実が明るみになった。とサイバー犯罪対策課の捜査員から報告があがってきた。

「毛物井 充鷹、おまえはパソコンのキーボードを使って会話をするタイプだったな」

 顔はこわばっているが素直に頷き伯田警部補の問いかけに応じた。

「そうか、そのおかげで、おまえたちの首謀者とのアクセス記録がのこっていたぞ」

 バンッとデスクを叩くような音が取り調べ室に響いた。

 毛物井はその証拠を叩きつけられて背筋が凍てつくようにパイプ椅子にあずけた腰を座りなおすように身を捩った。

「参ったね、ほんとうに…」伯田警部補は頭を掻いていた。

 政木警部が重いため息を吐いた。

 手が硬直したのか、「なんですか、いったい…」と思わずそのくらいなら声はだせる、と言わんばかりの動揺を見せながら毛物井はつぶやいた。

「おまえ、首謀者が警官だったのを知っていたのか?」

 毛物井は押し黙った。眉を顰めてそれこそ眼前の伯田警部補を睨みつけているのがわかった。

 素性を言えるわけがない。たとえ知っていようがいまいが、それは毛物井にとってはどうでもいいことだった。自分たちの存在を誇示し、成長過程であるガーベラの旗の下、その問いは無意味だった。

 伯田は質問をしてずっとその厳しい眼光に負けじと、毛物井を見つめ返していた。

 毛物井は視線をそらした。睨み疲れたのかもしれない。もとより答える気すらないのだろう。

 視線をそらすことよりも、「無言でもかまわないよ。毛物井くん、きみの反応をみたら、それが答えになる」氷室がそう付け加えた。

「やはり東京ガーベラズというのは、あなたたちが築いたものではない。茨城にいる警官、いえ、元警官の“杜坂”が首謀者ね。そこにもあなたたちの仲間がいる。調べはついた」

 政木警部が核心をつくことを毛物井に告げた。一夜かけて調査をしたのだった。

「元警官?」毛物井は唐突なことのようにつぶやいた。

「知らなかったか、唐突に昨日の夕刻、辞職願いをだしたらしい」伯田警部補が言った。

 毛物井は目を丸くさせながら、うつむいた。前髪が表情を隠してよくわからないが、微笑んでいるように見えた。

 そしてパソコンのキーボードの硬直した指先がパチパチパチパチと打っていた。

『そうか、そうか、そうか』と連呼していた。

 まるで喜悦するかのようにだ。

 警部たちはどういう精神状態か、皆目見当がつかない。だが、警官から遠ざかったことになんらかの意味がガーベラの旗の下の賛同者はきっと動き始めるのかもしれない、そう捉えていた。

 そのとき氷室の携帯電話に着信が入った。

 

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