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ミステリー

探偵の眼・御影解宗の推理 【ぼくらのガーベラ】16

   

 御影と輪都は遅れること20分。

 杜坂たちを追うように社用車に乗り込む。その20分で建物内を捜索していた。何か手がかりがあるか。

 それはある物を置いていったことに気づいていた御影はそれを輪都に手渡した。

 杜坂という人物が芝原家で聞いたとおりの人物なら同情はするというもの、だが裏表が内在していることで御影の推理はかならず悪のほうへと傾いてしまうのだった。

 そんな二人は切羽詰った状況の中、社用車を前進させる。

 

 杜坂たちが廃虚の建物から出てから、20分余りが経つ。

「もう手遅れかもしれませんよ」

 助手席に乗り込んだ輪都は急かすように声を張った。運転席に乗った御影はいつになく張りきっている助手の熱意に押されていた。

「わかっているって」

 御影たちも20分、建物内で物色していた。何かやつらが忘れていったものはないか。それは手がかりになるようなもの。

 いち早く気づいたのは御影だった。

 肝心なものを置いていったのを気づいたから出遅れることになんらためらいはなかった。

「輪都、送金先がどこか手がかりがないか調べろ」ノートパソコンを手渡した。

「これは、あいつらの…」

「ああ、一台だけ残っていたのを拝借した。というより置いていったように見えたな、俺には。何かしろの痕跡はあるかもしれない。何かまだあるような気がする。それに杜坂という人物、いったいどういう人物なのか、それすら俺たちはまだ知らないんだぞ。そのパソコンから何かしろわかるといいんだが…。芝原家での会話がすべてかもしれないけどな…」

 生い立ちについては施設育ちという悲しい人生感を抱かせるものだった話を聞いて知ってはいたが、きっと努力して警察官にまでなって、この場所で信頼を得て住民と家族同然に暮らしてきたというのに、それを今こうしてぶち壊している。

 それが杜坂という裏表がある内面なのだろうか。いまだに信じられない。でも御影は推理するとかならず杜坂は悪意のほうへと傾いてしまう。それだけの要因を内在している。

「出生からたどるのであれば時間がかかりすぎます」

「いや、そうではない。ある程度でいい。それらしい何かがあるはずだ。あと氷室さんか小柴さんに連絡を、メールでいいから両方を一度にこなせ」

 無茶振りをする御影だった。

「要するに切羽詰った状況なんですね」輪都は察しがよくなった。

「そういうことだ」

 御影は乗ってきた社用車を前進させた。

 ノートパソコンの電源を立ち上げるとガーベラの花と文字が浮かんだ。

 輪都は携帯電話でメールを打ちながら、ノートパソコンを立ち上げていた。

「こいつらのシンボル──」

「気取ってやがる」御影はパソコンの画面にケチをつけた。

「待ち受けの画面ですよ。そのくらいで…」と言いながらパチパチとキーボードを打ち、パソコン内に何か手がかりがないか調べていた。

「いきなりパスワードですか」

「とうぜんだろ、やつらは犯罪集団だ。そのくらいの障壁」

 御影は簡単に言った。

「ということはパスワードもご存じで?」そんなわけないと輪都は御影をちらっと見た。

「やつらのキーワードを当て嵌めていけばいいだろ。画面の最初の設定だ。簡単に決まっている」

 御影が言うようにそれほど難問でもなかった。彼らのシンボルに加え結成した日付だった。

「ほほほっ」輪都は思わず笑みをこぼした。「すごいな御影さん」

「そのくらいで浮かれてんなよ」

「わかっていますよ。さて、これからです。僕のパソコンを台無しにしたお礼はきっちりと…、あれは御影さんでしたね壊したの、蹴り上げて」

「いいから、早く…」

 画面に意識を向けた輪都はまずはフォルダやメールをチェックしていった。

 

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