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ミステリー

探偵の眼・御影解宗の推理 【ぼくらのガーベラ】17

   

 氷室や政木警部らは成田空港へ急行した。

 移動中、輪都からメールが届く。その内容から取り調べで得た情報と合致していることが判明した。

 すでに20分も前にガーベラのメンバーは出ていった。メールの文面には意味深なことが記されていた。

 御影と輪都は相手の忘れていったノートパソコンを解析し情報を得たが、成田発のどの時間に乗り込むか…。

 もはや時間はなかった。

 

 政木警部、氷室探偵、伯田警部補、黒田刑事は茨城に出向こうとしていた。

 電話で茨城の警察署に片っ端から道路の検問をしてもらうよう要請し、杜坂元巡査長と以下ガーベラの若者たちのリスト名を報告していた。

 千葉の成田空港へ向かう途中に捕らえるか、空港警備にも要請しすでに目を光らせていた。もちろん千葉県警にも応援を頼んだ。

「日暮里駅から成田スカイライナーで最短36分で着く。こっちのほうが速いわね」

 政木警部が車中で運転する伯田警部補に言った。

「ええ、行き先の駅で迎えの車を手配させればなお滞りなくいけます。とりあえず日暮里駅へ向かいます」

 伯田は提案にさらに追加して答えた。

「わかったわ、私が電話しておくから、急いで」

 伯田警部補は車を走らせた。

 黒田刑事と氷室探偵は後部座席で行方を見守った。が、黒田はあいかわらず預金について急かされるように焦っていた。

「どうにか、どうにか」と祈っている声がもれていた。

 氷室だけは冷静に、ガーベラのメンバーがすでに空港に着いてしまったのではないかと懸念していた。

 携帯電話にメールが届いた。それは輪都からのメールだった。

「これはまた、御影くんたちも脱出したそうです。どうやら成田空港でまちがいない。犯人側の一人があえてノートパソコンを忘れて、いろいろと証拠をのこしていったようです。こちらが得た情報と合致している。まちがいない」

 氷室は輪都からのメールを一読していた。

「そうですか、行き先はわかりますか、ぜいたくを言えば搭乗する飛行機のターミナルも」伯田警部補がバックミラー越しに問い掛けた。

「そうだな、ちょっと待ってくれ。一読する」

 氷室はしっかりと文面を読み耽った。

 なにやら意味深なことが記されていたからだ。

 朝の9時過ぎだった。ほとんど間に合うかわからないが9時25分発に乗れば10時4分に成田空港に着く。

 むしろ御影たちと地元の警察に情報を促がしたほうがよさそうだった。

「香港にいる仲間のもとにいくようだ」

「今ですと、第二ターミナルから出る10時20分というのがあります」黒田が目を覚ましたようにスマートフォンで調べていた。

 さすがに時間まではわからなかったが、第二、第三のハッキングもいまいち実行できない場合は、そのまま逃亡の手はずとなっていた。

 要するに、杜坂らの作戦は途中で頓挫したかたちになり、根こそぎ強奪することはかなわなかったということだ。
 
 

 黒田刑事に氷室は称賛を浴びせたかった。いまは御影たちからのメールの読破に勤しんでいる氷室だった。

「もしかしたら、すでに成田空港に到着しているかもしれない。20分も前に出かけたといっている」

 愕然と顔色を露わにする車中にいる刑事たちだった。

「でも、20分前だと…、9時50分があります。第一ターミナルで搭乗しちゃっているかもしれません」黒田は蒼白していた。

「今からでも搭乗するさいのゲートでそれらしい人物の手配を。第一ターミナルゲートに警備隊を集めて搭乗口をふさいでしまえば…、それで警察がくるまで粘るしかない」氷室は政木警部に伝えた。

「そうね、もしもし…」通話中だった政木警部は、手早く千葉県警の刑事に成田空港の警備を依頼していた。

「一触即発な展開は浮き足が立つね、長年探偵をやっていても」氷室はぼそっと背を座席にあずけながら言った。

「名探偵と謳われる氷室さんでもですか?」黒田の目は黒い点のようになっていた。

「まぁね」愛想笑いを浮かべるしか氷室には応じることはできなかった。

「もしかしたら第一ターミナルは空ぶるかもしれない。どこに潜伏しているか、それを見破るのは至難だ」

 氷室ですら人の出入りの多い場所で、犯人を捕らえるのは困難であることは否応無く理解していた。

「分が悪いかもしれないな」氷室はぼそっと言った。

 バックミラー越しに聞こえたのか、聞こえなかったのかわからないが伯田警部補が言った。「日暮里駅に着きます」

 駅に着くと車を近くの警官にあずけ先を急いだ。

 9時25分の成田スカイライナーに政木警部らは乗り込んだ。

 

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