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サスペンス

秘密-すれ違う二つの心-(10)

   

黒田マユが怒っている理由が分からなかった。

彼女が言うには、創が約束を破った事が怒りの原因のようである。
だが創はそんな約束をした覚えが無かったのだが……。

 

「黒田さん……ちょっと今は頭が混乱していて……少しだけ頭の中を整理する時間をくれないか? それに、ここでそんな事を言われても、周りの目とかあるし……」

 彼女にしか聞こえないような小さな声で囁くようにいった。彼女は『分かりました。じゃあこの間と同じくお昼休みに』と、同じく周りに聞こえないような声でそっと呟いた。俺はシステム管理課のフロアから出てゆく彼女の後姿をただじっと見つめていた。
 
 俺が黒田マユに怒られる理由が分からない。

 約束ってなんだ? 

 俺は彼女との約束を破ったのか?
 
 約束なんてした覚えはないぞ? 

 いくら思い出そうとしても何も思い浮かばない。それはそのはずだ。だって俺は彼女とは何の約束も交わしていないのだから。

 自分だけ知らないというのは何とも居心地の悪いものだ。ソワソワした気持ちのまま、お昼休みになるまでの時間を過ごした。

 

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