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伝奇時代

生克五霊獣-改-47

   2018年6月7日  

 蜃は富子によって、荒れ果てた社の中に招かれた。中には、幼子のものであろう骨が幾つも落ちていた。
 その部屋の中央に、粉々に粉砕された鏡が落ちていた。
「あれは?」
 と蜃が問うと、富子は忌々しげに吐き捨てるように言った。
「我らを長い間閉じ込めておった、憎き葛葉の鏡よ。たまたまふらりと現れた男児に、壊させたお陰でこうして自由の身になれたのだがな。目障りだから、片付けてはくれぬか? まだしぶとくも力が残っているのか、触れようとすると焼けるように熱くなるのじゃ」
「あれが、弟達ですよ」
 富子は興味もなさそうに言った。
「そうじゃったの」
 ぬるぬると、富子の頭は床を這うように移動し、奥に無造作に落ちていたボロ布の中に潜り込んだ。
 もぞもぞとその布が、富子の身体を形成した。
「泰親殿は、もう直ぐ現れる」
「今は何処に?」
「地獄じゃ」
「地獄?」
「ああ、そうじゃ。泰親殿は立派な式神使いであったのじゃ。それが、式神を持ち過ぎたせいで地獄に引き摺り込まれてしまった。身体を犠牲にこの世に戻っては来たが、朔の日になると1度あちらに戻らねばならぬ」
「ほう。それは、何故に?」
 
 

≪つづく≫

 

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