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ミステリー

探偵の眼・御影解宗の推理 【ぼくらのガーベラ】18

   

 成田空港の人の多さに刑事たちはガーベラのメンバーを捜すも、空振るばかりだった。

 次の香港行きまで時は迫っている。

 駆け回る刑事たちをやり過ごしてから、時間になったガーベラのメンバーは分散してそれぞれが搭乗口へと向かった。

 そのときだった。

 駆け回る刑事にのみ警戒していたようだが、彼らの前に立ちはだかったのは、氷室名探偵や政木警部ら、そして御影と輪都も合流していた。

 ついに大捕り物となったが、しかし、そこには…

 

 成田空港へ急ぐことになった千葉県警の刑事は突然のことで戸惑っていた。だが、空港でもそれらしい集団がいないか当たっていくことを警視庁の政木警部から要請されたからには動かざるえない。

 ことの経緯よりも犯罪の罪状のひと言で凶悪犯であると動きだしたのだ。

 メガバンク、サイバー犯罪テロ。

「ガーベラのメンバーと思われる者を捜せ、まさか杜坂は昨日のメガバンクサイバー犯罪テロ事件の首謀者とは、恐ろしいな」

 検問をしている茨城県警の刑事たちは杜坂の犯した罪を聞いて嘆いていた。あのバカとか、なんでそんなことを、と信じられないと事実を疑ってさえいた。でもこれは真実だった。

 時間は刻々と過ぎていく。人物と合致しない者ばかりに声をかけている刑事たちだった。

 人が多いことが要因となっていた。

 道に咲く偶然見つけたガーベラの一輪の花に太陽の光が照らすように明るい道が開けていた。

「さぁ、行くぞ」

 数白らは待機所の席を立った。刑事たちが息せき切って見当違いなところを駆けまわっているのをやり過ごしてから、搭乗口へと向かったメンバーたち。

 しかし、その瞬間だった。

 立ちはだかる黒いスーツを着込んだ男女たちが行く手を阻んでいた。

「……」数白らは他人を装ったようにメンバー同士視線を合わせずにいたが、この状況下はすでに先手を打たれていたと思われる。

「待っていたよ」名探偵氷室が微笑を浮かべながら立ちはだかった。

 駆けまわっていた県警の刑事たちには踊ってもらった。要するに犯人は待機所で息をひそめていることをすでに把握していた。

 やはり分散して待機していたと見える。予想以上に人数も増えていた。

 御影と輪都を拘束した際のメンバー以外も搭乗するつもりでこの場に集まってきていた。

 10時20分、タイミングとしてこの香港行きの国際便しかない。この前の便には乗っていないことがわかった。パスポートは本物だったため、名義そのものを変えて搭乗することは不可能だった。

 搭乗名簿を確認したら該当者ゼロだった。

 搭乗口で見張っていれば姿をいつか現すことはわかっていた。引き返すという選択を与えなかったのは、杜坂だったことも。

「きみたちは囮だったわけだね」氷室は急に眉をさげ、悲痛な言葉を並べた。

 あとは手配した顔や背格好のガーベラのメンバーをつぶさに見届けていたのは、政木警部らと氷室探偵、そしてターミナルの入り口で偶然にも合流した御影と輪都だった。

 氷室探偵の背後で御影と輪都は静かに行方を見守っていた。

 

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