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ミステリー

探偵の眼・御影解宗の推理 【ぼくらのガーベラ】18

   

 背後では搭乗するはずの国際便飛行機が離陸しようとしている。もう搭乗はできない。時間は過ぎていた。

「ここから逃げるにはむりだろ」

 バタバタと館内で響く無数の足音。それは黒服の刑事たちだった。

 御影は眼前の同世代の若者たちを自らのプライドのために戦おうと抗っていた者たちに、最後までその目に焼きつけていた。

 もしかしたら自分だってこいつらに賛同していた一人になっていたかもしれない。

 なぜ、御影はそうならなかったか、それは探偵事務所で出会った仲間がいるからだろう。善悪を教えてくれた人が傍にいる。

 氷室探偵がちらっと御影を見た。

 御影も何かに応えるように微笑んだ。
 

 

 この逮捕劇の直前でタイミングよく合流できた両者だった。

 小柴の連絡をとったあと、数時間も経ってからやっと御影と連絡がついたことに氷室は安堵した。

 だが、すぐに成田空港からガーベラという組織が逃亡することを告げると氷室はわかっている。そちらに向かっている。空港で落ち合えるか、とすでに推理は同色に染まっていた。

「あいつらに俺の言葉がとどきますかね?」

「わからん。でも考えようとはしている。それだけでもよしとしよう。そして御影よ、おまえは一人ではない。いつだってわたしがいる。だから落ちることのない人の道を歩むのだ。わかったな」

 連行されていく孤児で結束された組織の者たちを見送りながら傍らで氷室探偵が御影に囁いた。

「ええ、もちろんです。探偵らしくなってきましたか?」

 御影は調子よく氷室名探偵に訊ねた。

「ああ、それもこのわたしが誇れるほどにだ」

 御影は耳を疑った。まさかそこまで称賛されようとは思ってもみなかったからだ。

 

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