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風刺 / ユーモア

ドリームメーカーズ(下)

   

早田の言っていたことは本当だった。阿久沢は月五十万の固定給に営業課長として五万の追加給、そして実売に応じたノルマを支払われる立場となり、瞬く間に超エリートサラリーマン的な立ち位置になった。

無論、社長以下全員が常習賭博違反という「犯罪者」的職場なので、来るオファーもそれなりにヤバかったが、莫大な報酬とチリつくような博打やり放題だから気にもならなかった。

しかし、勝ちがあれば負けがあるのもギャンブル。なかなか結果の出せない人間もおり……

 

「ああっ、すきません●●総業さん。ご指定の台については月末にも当たりがつきそうで。ええ、北口町のゲーセンが潰れるって話でして、夜逃げの準備に入ってます」
「はいっ、マシン二台納入ですね。え? 『もどき』で構わない? いいえ、まずいですよ部長さん。大体ああいう店の常連は目が肥えてるんです。忘れずに本物を用意しておかなければ……」
 午前六時。多くの会社が業務開始どころか、まだ太陽が昇っているかも怪しい時間帯に「ドリームメーカー」の営業はそのピークを迎える。
 あまり時間をずれ込ませると、顧客が眠ってしまうリスクがあるし、人目にもつきやすい。
「阿久沢君、この前の話はどうなっているかな。××会の枝が年末に旅行にいくことになっていると聞いたが……」
「それに関しては我々の『定例会』に同行して貰いましょう。縁のない業者に頼んで、『条項』に触れても事ですから。筐体のテストってことで、『技術部』からも了解は取れてます」
 阿久沢は髪を刈り込みヒゲを剃ってオーダーメイドのスーツを新調し、いかにもやり手のビジネスマンといった出で立ちを保っている。
 実際、営業課長というポジションを与えられたからにはキチっとしておきたいし、また、そうでなければならない局面も多い。
「ドリームメーカー」の業務は「流通」である。
 製造者と事業者のマッチングをするのが仕事というわけで、ここまでならば特に珍しくはない。
 当然自分たちと組めば得だ、と相手に思わせられるだけのメリットを営業は提示することになるが、この企業の場合、「メリット」をあえてやや低めに見積もって出すことになっている。
 何故なら目標の未達は即破壊的結末につながるからだ。

 

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ドリームメーカーズ 第1話第2話

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