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現代ドラマ

鈴子 第九回 明暗

   

鬱陶しい梅雨。ゆっくり休みたいところだが、議員は議会が無い時こそ、選挙区内の支援者を訪ね、挨拶方々、じっくり意見交換しなければいけない。

昨年のような失敗は出来ない。健一は支援者から最も信頼されている山形所長を選び、挨拶回りを始めた。

  案ずるより産むが易し

苦手の長野会長は健一の誠実さを評価し、「頑張って下さい」と激励してくれた。

快心のスタートを切ることができた健一の顔は晴れやかで、とても明るかった。

一方、最大の支援者である吉岡産業では事件が起きつつあった。

吉岡俊夫に「青木弥生との不純な付き合いを暴露する記事が雑誌に掲載される。止めたければ、300万円を払え」と脅しがきていた。

 

 
大切な支援者回り
 

鬱陶しい梅雨。ゆっくり休みたいところだが、議員は議会が無い時こそ、頑張らねばならない。時間の許す限り、選挙区内の支援者を訪ねて回るのだが、昨年のような失敗は出来ない。

そのため、健一は同行者として母の雅代ではなく、支援者から最も信頼されている山形所長を選んでいた。

「次は長野会長ですね。」
「はい、分かりました。」

車は商店街を通り抜けた消防署の隣にある法人会事務所の前で停まった。

形式的には先日のパーティで関係修復は出来たが、本音で話が出来るかは、これからの付き合い次第。健一は緊張していたが、2階の会長室に長野会長を訪ねると、「いやあ、大木さん、待ってたよ。」と笑顔で迎えてくれた。

「いつもご支援頂き、どうもありがとうございます。」
「まあまあ、堅苦しい挨拶は抜きにしましょう。」

健一はソファーを勧められたが、まずは地元不在をしっかり詫びねばならない。

「先日のパーティの際は温かいお言葉を頂いておりながら、議会報告を含めてご挨拶に伺わなくてはいけないのに、ご無沙汰してしまい、申し訳ございません。」

こう言って深々と頭を下げる健一を、会長は「ははは、もういいじゃないですか。」と受け入れてくれた。

和やかな雰囲気に、コーヒーを淹れていた女性スタッフの顔にも笑顔が浮かんでいる。

そして、会長はコーヒーを一口啜ると、「いやいや、あなたの活躍振りは、このレポートを読めばよく分る。」と鈴子が届けている「健一政治レポート」を書棚から取り出した。

7ケ月前、関係悪化の一因となったものだが、今回は受け止め方が違う。

 

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レビュー

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  1. 丸山 利子 より:

    推理小説の様な話しの展開で最後まで一気に読みたい内容です。 また次回が楽しみです。

     

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