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現代ドラマ

鈴子 第九回 明暗

   

 
「自分の勉強のために書いたもので、あまり出来は良くないのですが・・」
「いや、実によく書けてますよ。やはり他人任せにしないで、ご自身で調べているから、新しい制度のことなどが、我々の目線で解説してくれているので、とても分かり易い。これはいいですよ。」

会長はパラパラめくりながら、「いいですなあ・・」と頷いていた。

「そ、そうですか・・本当にありがとうございます。」

健一は今度も深々と頭を下げていたが、うまくいく時は何でもうまくいくものだ。

「私はあなたのことを誤解していたようだ。」
「え、誤解?」
「そう、誤解です。以前、あなたは本当に忙しくて、うちに来れなかった。それだけなのに、そのことを私は責めた。あれは間違いだ。」
「いえ、そんな・・」
「あなたはウソをつけない、実に誠実な人だ。」

自分が至らぬばかりに、迷惑を掛けてしまったのに、会長はこのように言ってくれる・・健一は恥ずかしくて、次の言葉が出てこない。

「会長、これからもよろしくお願いします。」

すかさず、同行していた山形所長が代わりにお礼を言ってくれた。

無事に挨拶を終えた健一を会長は車のところまで送ってくれた。

「長野会長、今日はどうもありがとうございました。」
「ご苦労様。頑張って下さい。」

車が走り出すと、健一はふぅーと息を吐いていた。

「緊張しましたね。」
「ええ、本当に・・でも、良かった。」
「何よりです。本当に良かった。」

山形所長は健一の膝をポンポンと叩き、励ましてくれた。

「ありがとうございます。」
「さあ、次はあけぼの学園です。」
「はい、よろしくお願いします。」

支援者訪問は始まったばかりだが、快心のスタートを切ることができた健一の顔は晴れやかで、とても明るかった。

 

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レビュー

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  1. 丸山 利子 より:

    推理小説の様な話しの展開で最後まで一気に読みたい内容です。 また次回が楽しみです。

     

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