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現代ドラマ

鈴子 第九回 明暗

   

 
「日程表などはそちらの事務所宛にFAXを送るから、よろしく。」
「あ、ちょっと待って下さい・・」

健一が断らないうちに電話は切れてしまった。

「どうかしましたか?」

隣に座っている山形所長が心配そうに覗き込んでくる。

「先輩の池田議員から大分の社会福祉施設視察に誘われました。」
「いつですか?」
「来週の火曜から木曜です。」
「えっ、来週・・」
「困りましたよ・・」

山形所長も池田議員のことは知っている。

「断れませんね・・調整しましょう。」
「本当にすみません。」
「いえ、これも仕方がないことです。」

所長はその場から事務所に電話を架け、スケジュール調整を指示していた。

健一が自宅に戻ると、話を聞かされていた鈴子は釈然としない様子だった。

「あんさん、なんで来週なんどすか?」
「困った人なんだよ、池田さんは・・」

健一がぼやいていると、話を聞きつけた姑の雅代も出てきた。

「だから池田さんには気をつけなさいと言っていたに。」
「そんなことを言ったって仕方がないだろう。」

事務所の方でも、スタッフが山形所長を取り囲んでいた。

「ご挨拶回りの大部分は若奥様に代わって頂こうと思いますが、大奥様の出番も作らないと・・」

スタッフも分かっている。全て鈴子が代行した方が支援者も喜ぶが、そうすると、雅代の機嫌を損ねてしまう。

「そうだなあ・・吉岡社長、老人会、それに商店街、これは大奥様に行ってもらおう。残りは全て鈴子さんだ。」
「分かりしました。」

スタッフは支援者の了解を得るべく、一斉に電話を手に取っていた。
 

 

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  1. 丸山 利子 より:

    推理小説の様な話しの展開で最後まで一気に読みたい内容です。 また次回が楽しみです。

     

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