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現代ドラマ

鈴子 第九回 明暗

   

 
「あちらです。」
「ああ、分った。」

受付の女性はロビー左手のソファーを指し示した。

やはり、上下とも白のジャケットとミニスカートの青木弥生と、あの目つきの鋭い男、近藤哲が黒いスーツ姿で座っていた。

俊夫は受付の女性から面会票を受け取ったが、「これは必要ない。」と、それをゴミ箱に捨てた。

「ははは、ご無沙汰。」

近藤は立ち上がると、手を差し伸べてきた。だが、俊夫はそれを無視し、「外に行きましょう。」と正面玄関に向かって歩き出した。

「はいはい、俊夫さんの行くところなら、どこでも。」

二人は意味ありげな笑いを浮かべながらついてきた。

しかし、玄関を出ると、そこにはサングラスを掛けた体の大きな男が車のドアを開けて待っていた。

「乗んなよ。」
「な、何だよ・・」

俊夫は一、二歩後ずさりしたが、「遠慮するなよ。」と近藤に車の中に押し込まれてしまった。

「弥生が随分と世話になったらしいな。」

サングラスを掛けた体の大きな男が隣に乗り込み、近藤は助手席に、弥生がハンドルを握り、車は静かに走り出した。

「忙しいから、降ろさせてもらう・・」
「おやおや、そんなことを言っていていいのかな?」

さっそく近藤がジャブを繰り出してきた。

「どういう意味だよ?」
「『吉岡産業の御曹司、しゃれにならない過去』、困った記事だよ、これは。」

彼は雑誌のゲラ刷りのようなものをちらつかせていた。
 

 

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レビュー

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  1. 丸山 利子 より:

    推理小説の様な話しの展開で最後まで一気に読みたい内容です。 また次回が楽しみです。

     

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