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ミステリー

探偵の眼・御影解宗の推理 【ぼくらのガーベラ】19

   

 杜坂は別行動をとってそのまま成田空港をでていた。仲間にも伝えずに一人で逃げだしていた。

 あくどい計略は成田空港について、この計画がはじまったときから練られていた。

 ふたたび茨城県へタクシーをひろい北上する。そこは別の飛行場だった。

 悠然と成田空港の騒動がテレビで報道されていた。それを見つめる杜坂。

 そこへ現れるはずのない珍客が現れた。

 御影だった。
 
 
 

 クライマックスの舞台の幕が切って落とされる。

 

 サングラスをかけた杜坂は単独別ルートから逃げだしていた。成田空港の騒動をいち早く感知し、いや予定どおりのタイミングへと移行した狙いがあった。ガーベラの若者たちにも教えずに姿をくらませた。

「追う人数が多ければ多いほど混乱は必至。抜け道が必然とできてしまう。“タイミングとはこれのことだ。ギャンブルで当てるより運がついている”」

 ふっ、と杜坂は一笑した。

 別の飛行機に搭乗し海外逃亡。そして送金された相手の仲間と合流する。

「向こうに着いたら連絡をしよう。それまでは通信した際、証拠になりかねないからな」杜坂は抜かりなく、そして策略も密であった。

 二人だけの大金を山分けにする。これが杜坂の計略のすべてだった。

 悠然と逃れようとする杜坂は、成田空港を出てタクシーをつかまえて北上していった。途中、霞ヶ浦湖を迂回しながら目的地は。

 飛行場だった。茨城県百里飛行場。

 茨城県小美玉市百里・与沢にある共用飛行場である。2010年に茨城空港として民間共用化された。茨城空港の旅客ターミナルビルは隣の与沢にある。

「あと20分あるな。余裕だ。いまだに成田空港は大捕り物劇場の公演中だ」

 杜坂はターミナルビルのLIVE放送をテレビ画面から観ていた。さっきまでいた場所なだけに不敵に笑みをこぼしていた。

「やっと、みつけた!」

 ぜぇぜぇと息を切らせながら、杜坂の背筋を凍てつかせるような言葉をはっきりと聞き取った。

 振り向くとそこには御影が佇んでいた。

 ターミナルビルのど真ん中で対峙している。

「なぜ、おまえがここに…」

 これにはあまりにも驚いたのか、一歩退いた。

「そりゃ、あんたがあそこにいないから」指先を宙に向けた。方角はテレビ画面だった。

 不敵な笑みをこぼして観ていた成田空港での大捕り物劇場を指差していた。

「気づいたのか、あの混乱の最中を…」目を見開き丸くさせている杜坂だった。

「そうですよ」

 さらに背後から若い声が響いた。

「輪都くん、それと…」

 声がでなくなるほど固唾をのみ、喉は渇きはじめていた。

「仲間をおいていくなんてひどいな」氷室は眼前のガーベラの首謀者にひと言浴びせた。

 警察ではない民間人で、ただの探偵に逃げ道を阻まれてしまった。

 杜坂はこのときはじめて動揺していた。サングラスをゆっくりとはずして素顔を露わにした。

「やるな、探偵…」

 

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