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幻想 / 夢幻

不忘夜話1・予兆

   

 東日本大震災への鎮魂です。

 

 幻創文芸文庫は小説を載せるところです。
 ノンフィクションは受け付けていません。
 でも、編集者にお願いして特別に載せてもらうことにしました。
 上司の山中由紀夫さんの思い出として、どうしても書いておきたかったのです。
 今まで、だれにも話してない私の体験です。
 話しても信用してくれそうもないことです。
 でも、心にわだかまりがあって、いつか話さないと、と思っていたのです。
 今度、山中さんのお嬢さんが結婚しました。
 これで一区切りがつきました。
 それで、ここに書くことにしたのです。

 あの東日本大震災に関係することです。

 私は沼津で生まれ育ちました。
 サッカーが好きで走りまわっていました。
 勉強は、まあ平均だと思います。
 いちおう受験校でしたので、猛烈に勉強して東大を狙う者もいました。
 でも私には関係ないことでした。
 大志とか、そういうことには無関心だったのです。
 大学は、駒澤大学の商学部です。
 やはり平均的な学生でした。
 就職したのは大手の運送会社です。
 東京の本社に勤めるようになりました。
 会社でも野心というようなものはありませんでした。
 絶対社長になってやる、とか独立して起業する、ということは考えなかったのです。
 まあ、失敗なく勤めて定年を迎えればいいや……。
 私が定年になるまでは会社は潰れることはないだろう……。
 社会人になって2年目に結婚しました。
 そして娘が生まれました。
 それから4年後、茨城県の水街道に建売住宅を買いました。
 30年のローンで、通勤に2時間以上かかる、という負担ができました。
 でも、愛する家族のためですから我慢できますよ。

 新入社員のときに仕事を教えてくれたのは山中由紀夫という人でした。
 親分肌の面倒見がいい人で、とてもありがたい存在でした。
 それ以来、山中さんが上司として、ずっと上にいてくれたのです。
 

 

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