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幻想 / 夢幻

不忘夜話2・教室の花子さん(前)

   2018年7月6日  

 
 秋になりました。
 いつもどおり1年B組に授業へ行きました。
 一番後ろの窓側の机に女の子が座っています。
 山田花子が来ているのです。
 今日は欠席者なしだ……。
 私は、出席簿を閉じて授業を始めました。
 物体の速度は……、等直線運動が……、慣性の法則で……。
 説明したあと、練習問題をやらせました。
 ふと見ると、山田花子の席が空いています。
 説明中は、確かにいたはずでした。
「あれ、山田、どこへ行った? 今、そこにいたのに」
 おもわずつぶやきました。
 私の声を聞いた、前の方の生徒たちが驚きの声を上げました。
 1人が聞きました。
「先生、山田花子さんを見たんですか?」
「授業が始まるときはいたじゃないか」
「ええ……!」
 これで教室中が大騒ぎになりました。
「前の方、なに喋ってるんだ?」
「山田花子さんが現れたって」
「え、ウソ!」
「まさか」
「ついに……、また……」
「何だろう?」
「サッカー部じゃないか?」
「今度の試合か?」
「3年生の模試だろう?」
「そうかなぁ」
「だって、今年はキビしいらしいぜ」
 大変な騒ぎです。
 私は、大声を出しました。
「うるさい! 黙れぇ! 授業中だぞう!」
 静かになったのを見計らって、聞きました。
「一体、どうしたんだ?」
 教壇の前に座っている生徒が聞きました。
「先生、山田花子さんを見たんですね?」
 全員が、シーンとなって、私の答えを待っています。
「うん、見たよ」
「どんな格好でした?」
「確か……、青い体操着を着ていたな。制服じゃないのが気になったんだけど」
「じゃぁ、間違いない」
 またざわつき始めました。
 でも、すぐに騒ぎが静まり、私の方を見ています。
 秘密を聞くのは今しかない、と思いました。
「どういうことなんだ?」
「話します。先生は、もう僕たちの仲間だ」
 

 

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