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現代ドラマ

鈴子 第十二回 巧妙な絡繰り

   2018年7月9日  

健一の政治資金帳簿にあった「小池企画」は、池田議員が作った資金洗浄のトンネル会社であることが分かった。

だが、その資金でどんな遊びに使っていたのかは分からない。

「これくらいの使い方まら、政治家ならおどろく程ではありませんよ。」

山形所長はそう言って、鈴子を安心させたが、彼にも確信があった訳ではない。

年が改まった平成26年。鈴子が姉と慕う水野陽子は雑誌社の副編集長になっていた。

その雑誌社で開かれた編集会議で「国会議員の身体検査」という、とかく噂のある議員を徹底的調べるいう企画が持ち上がっていた。

そのターゲットリストに池田議員の名前を見つけた陽子は嫌な予感がしていた・・

 

 
巧妙な絡繰り
 

国会では「特定秘密の保護に関する法律」、「国家安全保障会議設置法の一部改正」など、重要法案の審議が続いていたが、2回生議員の健一は本会議は勿論のこと、委員会に出席しても質問に立つこともなく、ひたすら、「異議なし!」、「賛成!」などの声出し係だった。

ところが池田議員のように4回生になると、そのような役割は免除され、加えて要領がいいから、「大木君、俺、ちょっと休んでくるから。」と、こんなことも出来る。しかし、生真面目な健一は会議が無ければ控え室で待機、肉体的な疲れに加え、精神的にも参ってくる。

そんな中でも、健一は空き時間を見つけて、「あ、山形さんですか?」と事務所に電話を架けてきた。

「健一さん、連日お疲れさまです。」
「いえ、私はただ待機しているだけですから。」
「いやいや、それも大変なことですから。」

電話の主旨は聞かなくても分かっている。
いつ審議が行われてもいいようにと、国会内での待機命令が出ているので、今週末も帰れないということだ。

一昨日も鈴子が議員会館に行ったが、会えたのは午後9時を過ぎてからだったという。

本来なら、不透明なお金の支払いについて、理由などを詳しく聞きたいのだが、今の状況では、それはやめておいた方がいい。

「こちらのことは心配なさらず、体に気をつけて下さい。」
「いつもすみません。」

電話はそれで終わったが、山形所長は渋い顔だった。

  まあ、仕方がないか・・

椅子に座ったまま一息入れようとタバコを取り出した時、「所長、見つけましたよ。」と、金子秘書が事務所に戻ってきた。
 

 

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