幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

風刺 / ユーモア

俺たちのモクサン(5)

   

いよいよ、西川とその子飼いの警備隊たちの「仕掛け」が本格化していった。混乱に乗じる連中も紛れ込む状態の中で、篠田や杉下たちは極めて苦しい戦いを強いられていく。

とは言え校内で行われている以上、単純な戦いということにはならず、篠田は校内を駆けずり回って仲間を探していくが……。

 

「相変わらず、威勢がよろしいようですな、我らが教え子とOBたちは」
 校長室。厳重に鍵をかけて、「面会謝絶」の表示までした扉の内側で、五十代から六十代ぐらいの男たちが、どこか満足気に響いてくる喧騒に耳を傾けている。
 皆背広姿で髪型を整え、「大人」としての体裁を取ってはいるが、その実、只者ではない雰囲気を漂わせてもいる。
 もっとも、よほど喧嘩慣れしておらず感性の鈍い不良でも、煙をくゆらせ、紙巻きを口元にさした校長の指の太さ、拳の大きさを見れば、規格外の実力は把握できるはずだ。
「まったくです。頼もしいことですな。願わくば他の分野でもこの熱気が、と思ってしまいます。高校無償化となって久しい今日、退学をさせない我々の存在価値は乏しいことは、分かってはいるのですが」
「とは言え、罠にはかかってくれたようです。我々がすべてをなげうった仕掛け、たとえ世辞でも偽でもかかってくれないことには、寂しいですがね。さあ、ボチボチ参りましょうか。大掃除が待っています」
 校長が、手元に置いていた碁盤を、まるでコインでも弾くように放り投げ、裏返すと、ごつん、というもの凄い音が響いた。
 その衝撃が合図だったかのように、背広の男たちは決然と部屋を後にし始めた。

 

-風刺 / ユーモア
-, , ,

シリーズリンク

レビュー

この作品はいかがでしたか?
あなたの感想を送って、作家を応援しよう!

レビューを書く

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

おすすめ作品

アストラジルド~亡国を継ぐ者~レッドラット編 第8話「運命の瞬間」

   2018/09/18

鈴子 第十六回 臥薪嘗胆

   2018/09/14

探偵の眼・御影解宗の推理【サンライズ出雲・Life Game】4

   2018/09/13

探偵の眼・御影解宗の推理【サンライズ出雲・Life Game】3

   2018/09/11

アストラジルド~亡国を継ぐ者~レッドラット編 第7話「セリオ・フィズライト」

   2018/09/10