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風刺 / ユーモア

俺たちのモクサン(6・完)

   

全力で仲間の防衛に動く篠田たちだったが、留守で必然的に生まれる虚を突かれ、西川に侵入されてしまう。

不敵かつ残酷な態度を取る西川に篠田はキれるが、巨体と技術を兼ね備える西川にはまるで対処ができず打ちのめされてしまう。

しかし、勝利の確信をもって木製扉を叩き壊した西川は、予想もしない光景を目にするのだった。

 

「ふふふ、やはり骨が脆い。不摂生ですな。入院中は、もっとカルシウムを取ることだ」
「あああっ、が、がああああっ!!」
 合気道流の極め技でモク師の命である手首を外しただけに飽き足らず、西川は肘の関節までも極めて、一瞬すらためらわずへし折った。
 先ほどよりも大きな低く悲痛な呻きが耳に響いた瞬間、俺は動いていた。
「うあああああっ!!」
「甘いな、まったく」
 嘲るような西川の声とともに、俺の全身にえげつない衝撃が走った。
 殴りに行った腕を取られてコンクリの壁に投げ飛ばされたのだと気付いたのは、ダメージに耐え切れず、壁によりかかりつつ向き直ってからだった。
 西川は俺の喉笛に、アイスピックのようなものを突き付けていて、勝利を確信したかのように頬を歪めて呟いた。
「動くなら、刺させて貰う。すぐにな。……ただし、お前以外の連中を」
「なっ、何だと。そんなことが許されるわけが……」
「許されるとも。正当防衛だからね」
 西川は不敵に微笑み、空いた手に握った警棒の先端を、俺以外にまだ立っている人間の一人、モクさんに突きつけたようだった。
 モクさんもまた血まみれの状態だったが、体から滲む雰囲気や自然な笑みを浮かべた態度は変わらない。
 西川は、俺に細心の注意を向けつつ、モクさんの顔に警棒を押し当てるようにして言った。
「さあ、開けて貰いましょうか。その扉の先が根源ってことは分かっているんだ。俺を煽るつもりだったか、最後に一服入れる気だったかは知らないが、これであんたは終わりだよ、モク。大人しく殴られないうちに行動をするべきだ」
「私からはどうにもできませんね、教頭。何しろ、こちらには非がないことを知っているんですから」
「抜かせ!!」
 西川はモクさんのとぼけた言葉に、全身の隆々とした筋肉をさらに限界まで膨張させ、警棒とナイフを持ったままの状態でその巨体を宙に飛ばし、足を伸ばした。
 どうやら合気道の攻めか武器攻撃が来ると思っていたらしいモクさんは、ガードもできずにその飛び蹴りを喰らい、木製の間仕切りもろとも吹き飛んだ。西川は悠々と前に視線を向け、そして声を上げた。
「おおお、これは……!」

 

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