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ミステリー

スクープはいとも簡単に8

   

 美桜は言葉では偉そうな夢を語っていたが、たとえば社会にでるときの礎にするため、その知識や対応、ルールやマナーを習得する、それが基礎となりそのための勉学の場だと口上をたれていた。

 就職したあかつきにはそのすべてが活用でき、周囲の同期を突き放し目立つほどのスキルを持って、先輩社員に追いつき追い抜くほどの戦力となって会社そのものになくてはならない存在であると力をふんだんに発揮する。

 それが美桜が目指す社会人像だった。

 向井田とは正反対だ。いや報道部のデスク、ほかの者もちがう。俺にいたってはそこまで考えたこともない。

 美桜の日常を改めて観察してみて、実際学生としての本分を逸脱して男子学生たちにちやほやされるように媚を売り、モテモテになっている姿を恥ともせずに色目を使っている。

 女子たちと将来有望の学生との交流と奏して、医大や弁護士の卵、もしくはアクセサリーのように一時の流行としてイケメンと並んで歩く姿に優越感に浸る。そういう歓喜に陶酔しているのではなかろうか。けして将来をみていない。

 イケメンにイケジョ、双方ともに手中におさめようとポジティブな学生たちが下品な交流を持とうとする。

 ある女が嫉妬めいて、その輪に割って入りこみハイエナのように選りすぐりのターゲットを絞りこむ。

 しかし女はいう。「そんな自分が好きなの」

 甘え口調は反感を買うのだが、男受けは見上げたものだと周囲の女子はいう。

 その中で一人の女子の発言が波紋を呼ぶ。「なんか、かわいそう」

 俺は何気なく声をかけた女子、さしずめインタビューした女子は美桜よりもかけ離れた可愛くない女子だ。

「男たちの中心にいなければ自分を保ってられないのかな」

 見劣りする女子から同情されるような美人はなにが下回っているのか。それは内面しかほかに思いつかないだろう。可愛くない女は内面だって比例しているという声がある。

 美桜を含め、あさましい女たちに同情した可愛くない女子はちがう。目的を持って将来のために学んでいる場で、ホスト通いのようなことをしている彼女たちに同情している。自分磨きは二の次なのだ。

 まさにそのとおりだ、と俺は同感した。

 洗いざらい記事として掲載できるようにしたらどうなるか。同時に自分の彼女を裏切って信頼を失っても、仕事でスクープをとるためにかまわずやる。利用できるものはなんでも利用する。向井田のように。

 その先に未来があるのならこの記事は成功といえよう。しかし俺は悔やんでいた。苦悩している。美桜が恥晒しになってしまう。

 なにを考えているのか。なにが処刑は完遂したなんていっているんだ。こんなのありふれた記事、紙面のスペースを埋めるためだけで目が汚れるだけだ。

 根も葉もないことだったらどうする、イメージだけでも悪くさせる。美桜は指摘し抗議するだろう。

 俺が向井田のことで鳳来に抗議したように、それは撥ね除けられてしまう。

 この記事の提出を躊躇った。

 

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