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現代ドラマ

鈴子 第十三回 政治家の愚かさ

   

政治資金の使い方に世間の目が厳しくなる中、政治家当事者の意識は世の中とずれがちである。

真面目な健一にも妻の鈴子に言えないところが出てきた。

しかし、夫を支えなければいけない。鈴子は山形所長らとともに、地盤固めに努力する。金子秘書も政治資金の適切な使い方に裏方として懸命な努力を続ける。

その甲斐もあり、健一の赤坂、銀座通いは激減するが、思わぬ落とし穴が待ち構えていた。

 

 
夫の狼狽
 

三が日は家族で過ごせたが、定例国会の始まる24日まで、スケジュール表から「賀詞交換会」、「新年会」の文字が消えることはない。

健一が事務所に顔を出すと、「今日は午前と午後に賀詞交換会が2件、夜は新年会が2件入ってます。」と、早速、事務所スタッフから訪問先リストを渡された。

何しろ、選挙区内の役所、医師会、歯科医師会、法人会、税理士会、社会保険労務士会などから賀詞交換会、新年会の案内が届き、これに、商店会、自治会、スポーツ団体が加わるから、「政治家は心臓、肝臓、足が大切」と言われるが、まさしく、その通り。連日、体力勝負だった。

「いえいえ、私はもう・・」
「何だ、先生、もう酔っぱらちまったのか、だらしねえなあ。」

一年目は盃を受けてばかりだったから、こんな風に酔いつぶれてしまうこともあった。だが、最近は「おめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。」と、ウイスキーの水割りに見立てたウーロン茶を手に回るから、酔いつぶれることもなくなった。それでも、自宅に帰ってくると、着替えもせずに、「ふぅ・・」とソファーに倒れ込んでしまうこともしばしばだ。

「ご苦労さまどす。」

今夜も鈴子は熱いおしぼりを用意して待っていた。

「ありがとう・・ふぅ、気持ちいい・・」

体を起こした健一はそれで顔を拭いた。

「明日はうちもお手伝いします。」
「えっ、どこの新年会?」
「ふふふ、違います。」

鈴子は「明日の予定」と書かれた封筒からカラー刷りのプログラムを取り出した。

 

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  1. MASA より:

    テンポよくて面白いです。次回が楽しみです。

     

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