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伝奇時代

生克五霊獣-改-55

   

「夢路ちゃんは、最期まで優しい母親でいられたんだね」

 

「私が死んでいたら事は治まっていたと。この現実が変わっていたのではないかと今なお何度も思う。けれど、それが良い方向であるのか悪い方向であるのかはわからん。晴明殿は私の事を殺さないでいてくれた。晴明殿も、どちらが正しい選択だったか、わかっておらんかったと思う。けど、全てを捨てても私を選んでくれた。現に、お陰でお前達にも出会えた。お前達が幸せであるかどうか、私には分からぬが、少なからず私は幸せだ。晴明殿がいなくなっても、お前達がいる事で私は随分と救われた」
 夢路は、すやすやと眠る子に目を向けたまま、微動だにしなかった。
 やがてその子が目を覚ますと、夢路を見つけて嬉しそうにきゃっきゃと笑った。
「母上。私は……どうしたらいいのでしょう? もう、自分ではわかりません」
 そこに葛葉の姿はなかった。ただ、独り言のように夢路が呟いただけだった。

 翌日になり、甲蔵が離で見つけたのは、真っ赤な血の中に沈む夢路と子の姿だった。

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