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現代ドラマ

鈴子 第十四回 スキャンダル

   

平成26年6月、議会は予定の法案審議などを終え閉幕したが、政治家の影の部分を追うマスコミはターゲットを絞り込んでいた。

嗅覚の鋭い池田議員はその動きを掴んでいた。

「君にもマスコミに伝手があるだろうから、探って欲しい」

健一は池田議員からそう頼まれていた。

そして、8月、議員が外遊に出かけた、その隙を狙って、マスコミが記事を発表し、健一はそのスキャンダルの渦中の人となってしまった。

 

 
真実には公正であれ
 

水野陽子が副編集長を務める雑誌社では、特集記事「国会議員の身体検査(仮題)」の取材会議が始まっていた。

「おい、どこまで進んだ?」

編集長の問い掛けに、このネタの出し手である若手の橘記者は広げた取材ノートを見ながら答えていた。

「はい、取材ターゲットの当選4回から7回まで、与野党問わず、黒い噂の有り、無しに関わらず、調べました。その結果、危なそうな議員を10人程見つけました。」
「10人か、少なくないか?」
「ええ、そうなんですが、ちょっと、こちらを見て下さい。」

橘記者はカバンから別の資料を取り出した。

「皆さん、頭に浮かぶのは池田議員のことだと思いますが、彼の政治資金収支報告書は驚くことにきれいなんです。」
「本当か?あいつのがきれいだなんて、俄には信じられないけどな。」
「そう思われるのはごもっともですが、これを見て下さい。」

確かに、橘記者が回した池田議員の政治資金収支報告書には銀座や赤坂のクラブなどの名前は一つも無かった。

「嘘みたいだなあ・・」
「これがあいつの報告書なのか?」

先輩記者たちは納得のいかない顔だったが、やはり、気がつくものである。

「『小池企画』っての何だ?やたらと出てくるじゃないか。」
「そう、そこなんですよ。前回叩かれたことで、〝隠れ蓑〟が必要だと彼も学んだんでしょう。ここに『小池企画』の登記簿謄本のコピーがありますから、皆さん、一部づつ取って下さい。」
「寄越せ、回してやるから・・」

編集長がコピーを回し始めたが、全員に行き当たらないうちから、「何だよ、これは?」と騒々しくなった。

 

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  1. 丸山 利子 より:

    段々と雲行きが怪しくなってきて、応援している鈴子さんにも影響が来てしまいました、当然の筋書きなのでしようが鈴子さんには悲しい思いをさせたくないのが一読者の思いです。

     

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