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伝奇時代

生克五霊獣-改-58

   

 蜃の中で、止まっていたはずの時が一気に流れる。
 そんな気がしていた。

 

「力の無かった俺の責任でもある。俺を恨んでくれて構わないよ。あれから逃げるように里を離れたのも事実だ。俺がいたからと言って何かが変わったとも思えないが、少しは誰かの支えになれたかもしれないのに」
 白虎は、苦笑を浮かべた。
「そうかもしれませんね。けど、それだけじゃ前に進めない。いつまでも貴方に守られている子供じゃいけないんだ、皆」
 そんな話をしていると、薫風が夕餉を運んできた。
「蜃様、明日はどちらに?」
「そうだな、青龍領か麒麟領か……」
 迷った蜃に、薫風は意味ありげに提案を投げた。
「ならば、先に青龍領へお立ち寄りくださいな」
「何かあるのか?」
「麒麟領に立ち寄れば、きっと長くなりますから」
 それ以上、聴ける雰囲気ではなかったし、聴いてはいけないような妙な空気が流れていた。これも白虎の力か、空気がそれを伝えているように感じた。

 

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