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現代ドラマ

鈴子 第十五回 挫折

   

健一は「スキャンダル議員」とレッテルを貼られてしまった。

9月に始まった国会では、二人の女性議員が政治資金規正法違反などの疑いに、大臣を辞任する事態が発生した。

スキャンダルに対する国民の目が厳しい中、突然、議会は解散し、健一は逆風の中、選挙に挑んだが、完敗を喫してしまった。

お通夜のように皆が沈む中、鈴子は「もう一度やり直すと誓って欲しい。」と健一に迫るのだった。

 

 
私たちは知っている
 

電話は事務所だけではなかった。姑のいる母屋にも、鈴子らがいる離れにも、受話器を取れば、「恥知らず!」、「裏切り者!」と聞こえてくるのは、罵声を含んだものばかりだった。

「もう堪忍して・・」

耳を塞いで、その場に蹲る鈴子に、「ママ、大丈夫?」と小百合が寄り添い、智樹は「何だよ、こんなもの!」と電話線を引き抜いてしまった。

二人には写真週刊紙のことも、雑誌のことも、何も話していないが、智樹は中学一年生だから、当然知っているだろう。小学生の小百合も何が起きているのか、敏感に感じ取っていた。

翌朝、夫の健一はやつれた顔で議員会館から帰ってきたが、寝ずに待っていた母の雅代に「お父さんの顔に泥を塗って、恥を知りなさい!」と右手で頬を叩かれてしまった。

「お母はん、やめておくれやす・・」

慌てた鈴子が間に入ろうとしたが、「いいんだよ」と健一に止められた。

「バカも程ほどにしなさい・・」

雅代はそう言い捨てると、母屋の自室に引き籠ってしまった。

「子供たちは?」
「もう直ぐに起きてくるけど・・」

鈴子にだって言いたいこと、聞きたいことは山ほどある。しかし、事務所では山形所長、金子秘書、それに、先程駆けつけてくれた瀬戸顧問弁護士が待っている。

「頼むな・・」

夫はそれだけ言うと、彼らと対応についての打ち合わせするため事務所に入った。

 

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