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現代ドラマ

鈴子 第十五回 挫折

   

 
有権者の反応がよければ、やり切ったという充実感と「勝てるぞ!」と言う気持ちが湧いてくるが、逆の場合は、焦りと疲れで、気力も萎えてくる。

健一や鈴子らが戻ってくると、大木健一事務所ではスタッフが電話での最後のお願いに取り掛かっていたが、皆、疲労の色が濃く、声のトーンもどことなく弱々しくなっていた。

そして、12月14日(日)、運命の投票日。

各投票所等から集まってくる情報は芳しくなく、事務所の空気は重苦しいものになっていた。

これまでの選挙では、昼過ぎには支援者が集まり始め、「ははは、随分と日焼けしましたね。」など、互いの頑張りを労い合うものだったが、今回は夕方になっても、用意した椅子は埋まらなかった。

午後8時、開票が始まったが、間もなく、ライバル候補に「当選確実」のマークが付き、午後9時前、落選が確定した。

亡父健之助の時から守り継いできた議席だったが、世の中はスキャンダルを許してくれるほど甘くなかった。

「そういうことですか。」
「一から出直しですな。」

引き潮が引くように支援者たちは事務所を去っていった。
 

 

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