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ラブコメ

ひねくれ俺たちの青春シャウト 13

   

戸川美空の本性を大勢の前で引き出してしまった澤崎。
そんなことは意にも介さないように澤崎に酒を勧める部長霧間ミミ。

部長の実験とも言えるその策略とはいったい――

 

 ワインベースのカクテルか……。滅多に飲まない酒のダブルパンチに俺は少々たじろぎながらも――
「じゃあそれでお願いします」
 人の注文を勝手に決めておいて霧間先輩はなぜか無表情、バカにされてんじゃなかろうか。バカにされることには慣れてるけど、なんかこういう場でバカにされるとこたえるぜ?
「じゃあー私もワインカクテルにしまーす。キールでお願いします」
 三木林先輩はそんな軽いノリでカクテルを注文する。あんたもいつもはビールとかおっさん系の酒ばっか飲んでるくせに、今日はイケてる女の子演じるつもりか? まあこのサークルで一番女の子っぽいのは間違いないんだが。
「じゃあ俺はマルガリータで」
 西条先輩はピザみたいな酒を注文した。本当にピザを注文したと一瞬思ってしまったことは誰にも言わず墓まで持っていくつもりだ。
「じゃ、じゃああたしはスクリュードライバーで」
 夢見の野郎、無難な酒選びやがって。さらに言えば夢見光、この店に入ってからほとんど喋ってない。普段でかい口叩いてるやつほどこういう場では大人しくなるってのは本当だったんだな。
「小沼さんはムーラン・ルージュで」
 なんか知らんが相当お洒落そうな酒きたぞおい。次郎先輩は大丈夫なのか?
「お、いいね」
 超お気楽だった。この人はどうやら酒ならなんでもいいらしい。外で飲むときはウィスキーの瓶片手に持ってたし、典型的なのんだくれじゃねーか。まあ意外にも酔って迷惑かけてるのは見たことがない。基本うるさいだけだ。
「かしこまりました」
 バーテンダーは何を注文されても動じることなく、すぐに手を動かし始めた。まあプロだしそりゃそうか。
 テレビとかでよく見る、あのシャカシャカするやつを軽快に振るバーテンダー。こういう男の人は死ぬほどモテるんだろうな、とかまた鬱っぽいことを考えてしまう。さっきまでビール飲んでたってのに、いつの間に冷めちまったんだ俺――
 ……さっきまで、か……。
 戸川美空、あいつまさかまだ大学のベンチにいるんじゃ……。春っつってもこの時間は寒いだろ。

 

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