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ミステリー

探偵の眼・御影解宗の推理【サンライズ出雲・Life Game】1

   

 御影がめずらしく夏休みを過ごすことになる。そのまえに一週間かけて依頼人からの仕事をしないとならない。

 島根県の出雲に住む人からの依頼だ。

 御影は胸を高鳴らせていた。それがサンライズ出雲行き寝台列車に乗ってのんびりと旅行気分でいけるからだ。

 出発は22時発。優雅な一夜の星空を見渡しながら酒気をおびて依頼先へむかう。

 とあるゲームに参加するために──

 

 輪都は大学を卒業するも就職活動に失敗した。

 探偵助手アルバイトをして勉学、単位ともにクリアしても企業へのセミナー参加を忘れていた。

 強制的に御影のフォローに行かされていたためだ。

 それでも輪都は学生なりの活動として数箇所のセミナーに参加して将来像を歩もうとしていた。だが輪都は口を尖らせていった。

「アルバイトで探偵社の事務をしている。社会勉強の一環として」

 自信満々に話すが企業側はすごい志しだ、と好印象にもかかわらず敬遠されたという。

 御影は、探偵社のことを口走ったおまえの敗因だと失笑していた。

 御影みかげ 解宗ときむね(23歳)、見習い探偵と呼ばれつづけていたが、正規の探偵になって一年弱が経つ。もうすっかり探偵として板についていた。

 名探偵氷室ひむろ 鉄矢てつやの右腕と自ら謳っている。それは得意な点が開花し氷室探偵と匹敵するほどの実力を見いだしたからだ。

 聴覚、味覚、嗅覚、触覚、そして視覚。この五感が発達し集中することで五感のすべてが活発に高上するのだった。そこに飛躍に高まった頭脳が推理を組み立て信じられない着眼点を鋭利に突いて暴くのだった。

 輪都は探偵ではないが、探偵としてはまだなにもできない。ただフォローするだけだった。そんなでこぼこのコンビはいまだに背中合わせだった。

「御影さん、それってどういう意味ですか」

 御影が敗因を口にしたことで口を尖らせて輪都は堰きたてていた。

「理由は簡単な話だ」御影はどこか優越感な笑みをうかべながら説明した。

 会社の中を嗅ぎまわられては困る。冗談半分でありながら本音として話していた。

 輪都はそこまでのことはできない。探偵として巣立っていなければ知識もない。御影探偵のサポート、後方支援、その程度につきあわされているだけだ。

「嗅ぎまわるなんて、そんな物騒なことするものかよ。会社の秩序は遵守する」

 それでも輪都はIT企業で働くという夢を、企業への道を断念した。

「バッカだな」

 将来をあきらめた潔さに御影が冷や冷やしていた。輪都の人生を背負えるほど氷室探偵社は擁護はできても過保護ではない。

「それでどうする」

 いつもすましてクールな顔立ちの輪都がめずらしく悲運な色をのぞかせていた。

「とりあえずこのままここにお世話になりますよ。僕がいないと御影さんだって困るでしょ」

「ぷっ、強がりなことを。おまえらしくないな」

「そんなこと──」

 そのまま探偵助手をつづける輪都わと 清丸きよまる。助手、22歳の未熟者だ。

 アルバイト雇用の事務員として氷室が雇った。その性格はやる気なしのなしなし人間だった。男のくせに華奢で痩せ型、目つきが鋭く肌は太陽に浴びないために白い。御影より身長はちいさい。パソコンが得意で小柴や最年長の事務員の佐伯 みどりに手解きをうけていた。しかし、コミュニケーションが著しく欠けているため御影を困惑させていた。

 一年弱、御影の傍で助手をしているが御影の存在に感化されているところを自覚せずにいる。

「御影くん、もう夏よ。いまになって輪都くんの進路をきにかけるなんてご親切なことね」

 事務員の小柴 ナナ子、28歳。探偵事務所に就職し柱になっている事務員だ。縁のない眼鏡をかけ、顔に馴染んだその顔立ちはきりっとシャープな顔だ。黒い髪を一本後ろに縛っている。化粧は薄く派手な印象はない。

 白いワイシャツの襟を立て第一ボタンを外している。丸みを帯びた膨らみが胸のあたりに輪郭を象っていた。タイトなスカート、たまにスラックス姿も見るがほっそりとした体型をしている。冷酷な性格と口の悪さがなければとっても美人だろう。貰い手がないのはそこが災いしているのを本人はきにもしていない。

 と、これまでおもっていた御影もなんとなくだが氷室名探偵と、その、なんというか、ただならぬ関係を秘密裏にしている。

 

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探偵の眼・御影解宗の推理 【サンライズ出雲・Life Game】 第1話第2話第3話第4話第5話第6話

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