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幻影草双紙92・気味の悪い部屋3

   

 医学生の実態について教えてくれたI氏に感謝します。

 

 
 マリ叔母さんは、あの部屋が不気味だと感じていた。
 どこか、気味が悪いのだ。 
 だが、なぜなのかは分からなかった。
 病院で死んだ患者の霊が残っているのか……?
 地縛霊となってあの場所にいるのか……?
 それとも別の悪霊が……?
 いろいろと推理するのだが分からないのだ。
 唯物論者の小堀十和子は、さっさと契約をしてしまった。
 マリ叔母さんの論理を使えば、おばあちゃんが守護霊になっているから大丈夫、ということなのだ。

 そして──、4月になり、医学生としての生活が始まった。
 それは、聞きしに勝るハードなものであった。
 ものすごい量の教科書を買わされた。
 これを全部、勉強するのだ……。 
 それだけではない。
 病院を見学して、医療の現場を体験した。
 人体模型を使い、診察のシミュレーションをした。
 その一方、火曜日と木曜日は、夜の時間帯にコンビニでバイトをした。
 火曜日と木曜日は実習がなく、早く学校が終わるのである。
 また、幸いなことに、学生課から家庭教師を紹介された。
 日曜日に、高校受験生を教えるのである。
 これらのことで収入が確保できて、いちおう生活は安定した。

 では、下宿の部屋はどうなったか?
 どうにもなっていない。
 部屋にベッドと机、椅子を入れると、それだけで一杯である。
 しかも、多量の教科書が積み重なっている。
 幽霊が潜むような場所すらもないのだ。
 もちろん小堀十和子は幽霊を信じていない。
 百歩譲って、信じていたとしても、それを気にする暇などないのだ。
 部屋へ帰れば、今日の復習、明日の予習ですぐに机に向かわなければならない。
 なにしろ、毎週試験があるのだ。
 幽霊より試験の方がよほど怖い。
 教科書には、骨格や臓器のイラスト、腫瘍の写真などが出ている。
 スプラッターなんて可愛いものである。
 

 

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