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ミステリー

探偵の眼・御影解宗の推理【サンライズ出雲・Life Game】4

   

 一人ずつ自己紹介をさせていく御影は、ある一人に注視していた。その人物こそが犯人であるとにらんでいる。

 そして御影は名指しした。田井を襲った犯人の名を告げたのだ。

 否認する犯人の心情を掻きだし追いこみにかかると御影はまるで犯行シーンを見ていたかのように凶器や犯人の人間関係をくちにする──。

 御影の推理が始まった。

 

 御影は最初に名乗ってもらう男をじっと見つめる。

 高身長の男だった。力はなさそうだが手足が長く、髪の毛もなびかせイケメンだ。

「俺は山神やまがみ 脩一しゅういち(25歳)だ。探偵、あんたがいったとおり明後日から出雲でおこなわれる Life Game のクイズ番組の参加者だ。どうやらそっちの三人も同じってことか」

 たがいに顔見知りのはずが他人行儀なのは三人組は眼中にないのかもしれない。

 田井という人物をわけしり顔でこそこそと話していたところをみてこの場に残した。この中に犯人がいるのはまちがいない。

「わたしは和代わしろ 保詰ほつみ、23歳よ。まさかわたしまで疑われるなんて心外だわ。やってらんない。いくらわたしたちの顔見知りでも動機に確証がない。探偵さんがどうしてこの面子をのこして疑惑をふりかけるのか証明できるんでしょうね」

 すらっとした体型で頭脳明晰さをその滑らかな舌は情熱的なほど饒舌だった。

「ええ、もちろん…ですが、少し待ってください」

「せめて、わたしではないとこの場でいえばいいでしょ。犯人がわかっているならそのひとだけのこせばいい」

 頭脳明晰の女はここぞとばかりにくいかかってきた。

 押し問答がつづきそうな雰囲気に同じグループの男がくちをひらいた。御影にとってはありがたいフォローだった。

むらさき 史記ふみのり、26歳だ。年齢はいわなくてもよかったか。あん?」

 御影よりも背が小さく名乗るとき顎を突きだして、どことなく初対面でありながら敵意がこめられていた。

 癖のある小男に御影の頬がひきつった。助かったわけではない。この男も内心憤慨しているのだろう。いまにも噛みつきそうだ。

「俺は日下田ひげた 壮士そうし、29歳。この中では年長だ。これでいいか」

 体格がいい。御影は圧迫感を感じた。上から見下げる視線のちがいに仰け反りそうだった。

「体格がいいですね」

 愛想笑いを浮かべる御影だった。

「大学時代までずっとラグビーをしていたからな。まだまだ体力は現役並みだぞ。力比べでもするか」

「いえ、べつに…、そういうことは──」

「負けるのがみえるか探偵さんよ」

 またしても愛想笑いを浮かべる御影は瞳を光らせた。

「ええ、どうせ俺はあなたを倒せるから結果のわかる対決はしませんよ」

 カチンと頭のネジが弾けた音がしたように日下田の顔が中央に集まり険しくガンを飛ばしていた。

「てめぇ──」

「こ、ここは対決、する場ではありませんよ」

 車掌が職務のため喧騒になるまえにとめにはいった。

 御影が強気になったのは頭が沸騰したわけではない。いたって冷静だった。この場で一番の決定権を持っているのが車掌だ。その車掌が御影側に立っている。臆することはなに一つとしてない。

 双方おだやかに身を引いた。

 五人組の最後の一人が重い唇を開いた。

上埜うえの 徹司てつじ、27歳…」

 ちょっと暗い顔をして口篭もったような声質で聞き取りにくかったが、かろうじて御影の耳にはとどいていた。

「ウエノ テツジさんですね」

「えっ、えぇ…」

 聞き返されるとはおもってなかったようだ。しっかりと言葉を発声したはずだった。おもっていたより自分の声が出ていなかったことにきづいたようだ。

「俺は、なにも…」

 御影はじっと見つめていた。目をそらしそっぽをむいた上埜に疑念を抱かないわけがなかった。探偵の眼はかすかな違和感の仕草を見のがさない。

 他の全員が上埜の態度に目を細め首を傾げていた。緊迫した状況下に上埜は苛まれているようすだった。うんざりしているのがあからさまだった。

 のこりの三人組の名前を聞かなければならない。おそらく無関係だろう。犯人は一人で手をくだした突発的な犯行であると御影は推理していた。

 三人組は問い詰めていくあいだにどの程度の関係性があるのかを見極めるために同行させていた。顔見知りなのはあきらかだったからだ。

「それじゃ、そちらの三人の方──」

 御影は手をむけた。

 

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探偵の眼・御影解宗の推理 【サンライズ出雲・Life Game】 第1話第2話第3話第4話第5話第6話

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