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異世界ファンタジー

アストラジルド~亡国を継ぐ者~レッドラット編 第8話「運命の瞬間」

   

町の手前まで来たにも関わらず、足を止めるセリオ。そして、再びエリザを発作が襲う。

「会いたいと思える人に出会えるまで、俺はこうしているつもりだよ」

『アストラジルド~亡国を継ぐ者~レッドラット編』
【毎週更新】

新章 第8話「運命の瞬間」

前作
(1)『アストラジルド~亡国を継ぐ者~カーネット王国編』全50話
(2)『アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編』全40話

 

 

***

 町まではそう距離はない。短い間だけれど、彼といられる間に少しでもレッドラットの情報を聞き出さなければ――――。シアンは彼と口を聞くつもりはなさそうだし、私がどうにかしないといけない。

「あの……セリオ?」
「うん、なーに」
「レッドラットは今、どんな状況なの?」

 私は歩きながらとりあえず彼に近況を尋ねてみる。

「どんなって?」
「ここまで来るのに列車を利用したのですが、途中で停まってしまって……」
「あー、それね。小っちゃい小競り合いで停まっただけだと思うよ。レッドラット自体には何ら大きな影響はないんじゃないかな?」
「そうなの? ここまで何も争いの痕跡がなかったから、てっきりレッドラットで何かあったものだと……」
「気にしなくて大丈夫だよ」
「……そう、ですか」

 セリオはそう言ったけれど、何故だか安心は出来なかった。

「それよりも、お嬢さん」
「はい?」
「君、女の子なのに何でそんな格好してるの?」
「あ……」

 性別が判断出来ない場合は、そう違和感はないはずなのだが、私が女とわかった以上、この服装に疑問を抱いてもおかしくはないか――――。
 私は頬を掻きながら、彼の瞳を見上げた。

「二人きりの旅だから、この格好の方が何かと都合がいいの。ちゃんと男の子に見えるでしょ?」
「まあ、若干ねー」
「――――ふふっ」

 シアンに尋ねた時も似たような答えだったことを思い出して笑ってしまった。
 案外、この二人は気が合うのかもしれない。

「セリオこそ、何でそんな格好をしているの? ぶかぶかですよ?」
「まー、俺もこの方が都合がよくてね」
「そうなんですか?」

 お互いに顔を見合わせて、くすくすと笑い合った。すると、それまでずっと黙り込んでいたシアンが私とセリオの間に割り込み、彼を睨んだ。

「てかよぉ、お前、女みてぇな面だよな。お前こそ本当に男かー?」

 そんなシアンのからかうような言葉にも、彼は動揺することなく微笑んでみせた。その表情を見て、私も少し疑ってしまう。
 男にしては、高い声と細い体。多少、その服装が気になるが、顔立ちは恐ろしく整っており、中性的な印象を受ける。もしかしたら、本当に――――。

「確かめたいの?」
「え……」
「いいよ」
「え!?」

 大きな瞳が私を捉える。戸惑う私の手を掴んだセリオに勢いよく首を横に振り、抵抗をした。

「い、いえ結構ですッ」
「大丈夫。俺、気にしないから」
「そういう問題では……!」
「うーん。じゃあ、君で」
「はあッ!?」
 

 

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