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現代ドラマ

鈴子 第十七回 二人三脚

   

平成27年(2015年)7月、鈴子を愛してくれた祖母が89歳で亡くなった。

その悲しみを乗り越え、鈴子は地域活動に取り組み、その努力は共感を呼ぶ。

〝鈴子サポーター〟の上田さんと猪瀬さんが立ち上げた、その活動集団「素敵な街づくりグループ」は3支部、会員数100名の規模となった。

夫の健一も努力を怠らない。政治の勉強は勿論、苦手だった演説も、他の人の演説からヒントを得て、弱点を克服した。

二人三脚で準備を進めてきた二人に、政治も歩調を合わせるように議会解散へと向かう。

 

 
祖母の死
 

平成27年(2015年)6月、京都の姉、晶子から電話が架かってきた。

「あ、鈴子?」
「お姉ちゃん、久し振り。どないしたん?」
「おばあちゃん、具合が悪いんよ。」
「具合悪いって?」
「もう長くないらしいんよ。」

姉と共に鈴子を可愛がってくれた祖母も89歳、一昨年、長年連れ添った祖父が亡くなり、精神的にがっくりきていた。そのことが原因なのかは不明だが、持病の糖尿病が悪化し、急速に老衰が進んだという。

「夏までもつか分らんそうよ。」
「そうなん・・」

鈴子は元気だった頃の祖母の姿を思い浮かべていた。

 「帯くらい結べんと、呉服屋の娘と言えへんよ」

 「鈴子、東京に行ってしまうんか?」

 「健一はん、鈴子んこと、よろしくお願いします。」

いつの時も、自分を守ってくれる優しい祖母・・数々の思い出が頭の中を駆け巡る。

「お姉ちゃん、うち、来週にはお見舞いに行けると思う。」
「大丈夫なん?」
「うん、大丈夫。おばあちゃんに早く会いたいし、それに、健一はん、落選中やから、うちも暇なんよ。」
「あら、そないなことを言ったら、健一はんに叱られるわよ。」

電話の向うから姉の笑う声が聞こえてきた。懐かしい実家の匂いが伝わってくる。

「じゃあ、またね。」
「はい、待っとるよ。」

 

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