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現代ドラマ

鈴子 第十七回 二人三脚

   

 
「あらまあ、人気があって、ようございました。」

上田さんの“最後っぺ”は耳に届いたようだが、支援者に囲まれた夫人はキッと睨んだだけで、行ってしまった。

「言い過ぎ?」
「ほんま、言い過ぎどす。」
「ははは。でも、すっきりした。」

明るく笑う二人の周りにも、「おめでとうございます。」と〝鈴子サポーター〟が集まっていた。

新年会はちょっびり過熱気味だが、政治の動きはこれ以上に年明け早々から活発だった。

1月23日、7月に予定されている東京都議会議員選挙を目指し、現職知事の率いる政治団体「都民ファーストの会」が地域政党としての活動を開始することが発表され、既存政党を脱退し、ここに合流する議員が相継いだ。

これを皮切りに、政党再編の流れが起こり、それと共に、各地の地方選挙でも、与野党は政策をぶつけ合い、流れを掴もうと必死になっていた。

「他人の演説は聞くだけで勉強になる」

金田議員はそう言って健一を演説を聞きに行くことを薦めた。

アドバイスに従い、さっそく出掛けてみると、なるほどと思った。これまでは自分の政策を訴えるばかりで、有権者の反応を確かめる余裕がなかった。だが、こうして第三者的に観察すると、名演説者と言われる人はその内容もさることながら、会場内をよく見ている。それに、声の出し方、間の取り方が実に上手い。

だから、聞いている者は次に何を言ってくれるのかと、身を乗り出して待っている。これまで全く気がつかなかったことが見えてきた。

演説が得意ではなかった健一にとって、これは大きな収穫だった。
 

 

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