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現代ドラマ

鈴子 第十七回 二人三脚

   

 
一般の人はこんなことは知らないが、行事参加者の中に弁護士がいた。

彼は騒ぎ立てるつもりはなかったが、素朴な意見として「公職選挙法は正確に理解されているのか?」と題するものを新聞に投稿した。

「過日、地域行事に参加したが、とても暑い日だったので、地元選出の議員事務所が汗拭きタオルを配ってくれた。いやあ、気が利くなと思い、『ありがとうございます』と受け取ったが、一息ついたところで、公職選挙法第199条の2に違反しないかと考えてしまった。2年前、うちわを配って、法務大臣が辞任していた。タオルもうちわも暑い日には助かるものだが、法はしっかりと守らなければいけない・・・」

掲載されたのは地域版で、特に大きな話題にもならなかったが、ちゃんと読んでいた者がいた。水野陽子だ。

「橘君、これ、読んだ?」
「何ですか、副編集長?」

陽子にその新聞切り抜きを渡された「橘君」はあの特集記事「政治資金の使途、それは適切か?」を書き上げた橘記者だ。

「ははは、これですか。時々、勘違いするんですよね。実は僕も興味があって調べたんですよ・・」

彼は取材ノートに挟んでいたコピーを陽子に手渡した。

「へえ、こんなのがあったんだ・・」

それは前年(平成27年)7月にH議員から国会に出された「政治家の寄附禁止の徹底に関する質問主意書」で、「政治家や公職の候補者になろうとする者は公職選挙法第百九十九条の二の規定により、祭り等への寄附が禁止されているのに、盆踊りや夏祭りに、会費という名目で事実上の寄附をする議員が後を絶たない。これは違法ではないか?」と質し、それに対し、総理は「誤認が多いので周知徹底に努める」と回答していた。

 

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