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ミステリー

探偵の眼・御影解宗の推理【サンライズ出雲・Life Game】10

   

 結果の連絡がきた。プロデューサー本人からだった。

 御影は驚いた。そんな責任ある立場の人が直接連絡なんてありえない。しかし姉妹はまったく疑いをもっていなかった。
 
 

 プロデューサーが贔屓していた者が会場にこれなくなった。そのためプロデューサーとアシスタントディレクターはある考えにおよんだ。

 盛り上げ役がいなければあまりにもお粗末な番組になる。苦肉の策でプロデューサーは三人組の一人に目をつける。

 

 由真はその場にいる肉親の妹、小夢と抱き合いよろこびあった。

 サポートをいっさいもとめられなかった御影はこの二人の歓喜の温度差についていけなかった。でも素直によかった。これで決勝のLife Gameで役割を果たせばいい。依頼もまっとうできるというものだ。

「プロデューサー自ら電話してくるんだね」

 御影は二人のあいだに介入するために疑念をぶつける。やはりきになってしまった。

「そうね」

 由真の顔には屈託のない笑みをひろげたまま御影をみつめていた。とっても澄んできれいな瞳だった。

 本人はまったく疑問を感じていない。純粋きわまりない瞳に都会で受けた洗礼を御影はいくつも乗り越えてきたが、由真にはそんな洗礼は浴びせさせたくない。

「なんでプロデューサーから連絡が?」

 御影はつぶさにたずねた。

 えっ、という顔をした姉妹だった。

「それはそうでしょ。だって責任者だから、このクイズ番組の…」

「それはそうだけど、普通はプロデューサーからではなくアシスタントディレクターとか、番組関係者がするもんだよ。プロデューサーがそんな連絡をするなんて…」

「探偵さん、なんなんですか、ひとつ壁を乗り越えてよろこんでいるところを」

 由真はせっかくのよろこびに水をさされたから顔が険しくなった。

「そりゃそうでしょ。探偵としていわせてもらうが優勝カップをどうやって手に入れたのか、一番に聞かないとならないひとだとおもうから」

 御影は気づいていなさそうだから強めの口調になった。

 姉妹と出会ってからいいとこなしだったため人間らしさが出てしまった。少しだけ後悔したように言葉を飲みこもうとしたが、すでに遅かった。

 嵐のような怒号が御影を刺す気配を感じた。背筋がピンっとまっすぐになったが姉妹は反論もなければただぼう然と佇んでいた。

「たしかに直接どういう経緯で賞品として掲げているのか聞けばよかったんだ──」

 御影の助言をこんなところで受け入れた由真はすぐに携帯電話でダイヤルしようとしていた。

「待って、まだたずねていないのであれば…、もしかしたらそのときではないのかもしれない」

 御影は妙な口ぶりをした。

「どういうこと」

 姉のとなりにいる小夢が言葉をはさんだ。

「つまり──」

 御影は首を傾げて探偵の勘でいまはそのときではないような気がすると、やはり体たらくな返答しかできなかった。

 それでも由真は携帯電話をしまった。

 どうやらここは探偵としての勘を信じてくれたようだ。

「だって、ここにくるときにすごいことしてたんだし──」

 由真は小夢に話してくれた。

 サンライズ出雲寝台列車でのいきさつを。

 

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