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ミステリー

探偵の眼・御影解宗の推理【サンライズ出雲・Life Game】10

   

 番組責任者であるプロデューサー波多薪はたもと 滋郎じろう、50歳。一流Y大学を卒業している。褐色の肌に筋肉質な体格。背丈はそれほど大きくはなく一般的。ドライビングシューズに七分丈パンツ、柄物のシャツに半袖ジャケットを着こんでいた。かなり洒落た人物だ。

 番組を進行するのは司会者の筑縞つくしま 路也みちや、38歳らしいが見た目は若い。七三分けの髪型で色白の肌に丸眼鏡をかけている。ワイシャツに蝶ネクタイ。タキシードのドレスコードを常に心がけている。エナメル質のシューズが輝いて目立っている。

 敏腕司会者でテレビの特番でMCを勤める実力者だ。

 アシスタントディレクターの太祖たいそ 信光のぶみつ、26歳。外見華奢で頼りない風貌。この業界体力と忍耐がいるがそのどれもが欠けている容姿である。

 同じく大葉おおば 佳香よしか、24歳らしく若さが漲っている。体育会系の女子で体力や根気がもとより根付いていた。先輩ADの太祖よりよく動きまわり働く。

 ほかにも数十名のスタッフがいる。が波多薪の周辺にはこの二人のADがいつもついていた。

「明日から本腰いれてはじまるわけだが」

 波多薪プロデューサーがソファにふんぞり返り足を組みながらいった。

 AD二人はかしこまっていた。

「波多薪さん、わたしの明日の出番だが最初からもっと派手なアナウンスをしたほうがいいかな」

 司会者の筑縞は波多薪に段取りを確認していた。

「任せますよ。あなたの司会ぶりは一流だ。頼りにしています」

 波多薪はごきげんよく大笑いしながら返答した。

 司会者はその場を振り返り台本に目をおとし熟読するために控え室へとむかった。

 その後ろ姿を一瞥しながら波多薪の顔から笑みが突如消えた。

「ちっ、まったく台本どおりやってくれりゃいいんだよ。ほかのことを考えることはない。自分が目立つことばかり考えおって」

 太祖と大葉は少し緊張した顔がこわばっていながらも笑みを取り繕った。ごきげんそうな波多薪の腹の中は煮え繰り返っていたからだ。

「まったくなんだってこんな大掛かりになったのか。いやになるね。予定どおりなら決勝の一つで十分なはずだったのに──」

 これだけの口調の荒さは日頃からではない。理由があるのだった。

「田井 平生がここにくる途中、電車の中で重症にあうとはな」

 波多薪プロデューサーが目をかけ贔屓していた一人であった。

「はい、しかも重症を負わせたのは上埜 徹司さんです。参加者の一人で何度もテレビのクイズ番組で田井さんと凌ぎを削った間柄だとか」

 大葉が資料をみながらこたえていた。

「彼は一流Y大学卒業者でそれがこんな事件を起こすなんて、本来ならこの撮影も中止にしたほうがいいのではないでしょうか」

「口ごたえするな。これは俺の番組だ。俺が決定するんだよ。続行に決まっている」

 大葉は肩を竦めうつむいてしまった。

「田井は一流T大学を卒業している。彼らが競い合ってくれるのを期待したんだがな。視聴者もそれを望んでいる。まったく優勝候補者二人がいないのにどうやって番組を盛り上げるのか。もっとも“田井のやつは最初だけ参加するくらいでいいけどな”」

 重苦しい空気が広がった。

 

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