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ミステリー

探偵の眼・御影解宗の推理【サンライズ出雲・Life Game】11

   

 翌日の朝、御影と由真は会場へと向かった。クイズで名を馳せた強者たちの中にどうにも強気なチワワが混ざっているようにしかみえない。

 御影は別室でモニターを見ながらサポートをする。このLife Gameとやらに気をとられているばあいではない。

 泉州骨董屋で盗難された犯人を追いこむことのほうが優先ではあるが、犯人はわかってもまだすべてを解明できたわけではない。しばらく泳がすことにした。

「さてと、ゲーム開始か」

 ゲームの問題を解きながら犯人の証拠もみつけていくことをきめた。平行して解き明かすだけの時間はある。サブとしてバックコールがなければ見守るだけの空白の時間といってもいい。

 誰にみられるわけでもない。サブとして御影は探偵らしく動きまわるのに好都合だった。

 高らかに司会者の筑縞が声を張り上げて「スタートファイト」と叫び、会場内が震えた。

 予選落ちした者や地元の観覧者が声援をあげていた。

 予選は一回で済むようにしていた。ペーパーテストの得点の高い順から20名を選抜した。

 由真はその20名の中にいたというわけだ。

 リーダー20名がそれぞれのスタートの配置についた。かなりの広大な敷地に設置されたゲーム盤。ライバル同士がわからないように道は一本。全マス目は100マス。サイコロは六面。サイを振り出た目だけ進める。

 出た目のところにはイベントが表示される。5マス進むや3マス戻るなど。最悪は一回休み。もっと最悪はふりだし。とにかく一番最初にゴールしたものが優勝となる。

「普通の人生ゲームだが、かなり苦戦するだろう」大笑いする司会者の筑縞だった。

 この単純なゲームのルールを冊子で受け取り何度も読み直していた。司会者が言うとおり普通の人生ゲームだ。ただ一つだけ、最終頁に妙なことが記されている。

「ゲームは意外性があるからおもしろい」

 ぼそっと声にだしていた。この意味がどうしても解けない。このゲームの盤上で人間を駒にして何かが起こるという暗示めいていた。

 御影があれこれと考えていると、由真の手番となった。出題したのは司会者だった。サブに聞くことなく一問目をあっさりと答えた。あいかわらず頭脳明晰である。

 サイコロを振ると、出た目は4だった。

「まずまずか」

 御影は由真の頭につけられている目線カメラからモニタリングが可能となっている。

 御影の視界はそこからしか盤上内を見ることができない。だからライバルのこともわからない。

 サブはそれぞれが個室で控えていた。パソコンを使って情報を収集することができる。

 10秒間で問いの答えを見つけてリーダーにつたえなければならない。バックコールが宣伝されたとき、控え室のサブは緊張感が数十倍跳ね上がるだろう。

「しかし、いまの問題は出雲にまつわる歴史の問題…、わかりやすいだろうな地元人には──」

 そして2巡目。

 御影はまた出番がないだろうと足を組み椅子にふんぞり返って座っていた。

 2巡目の一番目の駒に出題される前に、筑縞司会者は突如妙なことを口走った。

「それではランダムに出題する人をこちらが選び順番に回答してもらいます」

 御影は前のめりになった。もともと聞いていたがこういうタイミングでなるとはルールブックに書いていない。

「なるほど駒になる者にさえ知らされていないことがあるから、よけいに盛りあげるか。リアクションがかなりあがっている」

 由真の番になると出題者の声に御影が反応を示した。

「あれ、この声って…」

 どこかで聞いたことのある声だった。

「あいつか!」

 サンライズ出雲寝台列車で一緒だった山神脩一だった。
 
 

≪つづく≫

 

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