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ラブコメ

ひねくれ俺たちの青春シャウト 14

   

ついに暴かれる、澤崎の能力。
それは一体、どんなしょうもないものなのか――。

 

 あんた……俺に何をしたんだ? 俺に何を飲ませた? いや、酒なんだけど。しかもお洒落な酒で……。俺が飲んだこともないような、一杯1000円越える超絶お洒落なやつなんだけど……。
 お洒落? 飲んだこともないような?
 なんだか腑に落ちない……。そんなことを考えながらも、俺の脳みそはアルコールらしき何かに蝕まれていく。
 いや、違うな。
 上塗りされていく感じだろうか。
 先輩たちは俺の変化には気づかず、楽しく、それでいて、店の雰囲気を気にしてかいつもより声のトーンを落として飲んでいる。霧間先輩は未だ陰謀めいた顔で淡々と、西条先輩はバーテンダーとイケメントークを、小沼先輩は高校時代の武勇伝(自分ではなく知り合いの)を、三木林先輩はいつもの微笑んだままの表情で粛々と、夢見は何か緊張めいたように黙々と。
 そして俺は――
 だんだんと変化に思考が追いつかなくなってきているのだった。
「おい、澤崎。生きてるか?」
 西条先輩の声が耳に届く。いつもと違って聞こえる。まるで、王室で両腕を肘掛に乗せてくつろいでいる俺に、部下である一般兵が喋っているように。
「生きてますよ」
 俺は言った。
「まあ死んでたら困るよな」
 小沼先輩が酒を片手に言う。
「そりゃあそうですよ。酒を飲んだくらいじゃ死にませんて。仮に理性を多少消失したところで、俺には理性以上の正常な本能ってやつがありますから。安心してください。小沼さんこそ、ちょっとペース配分気にしたほうがいいんじゃないですか? 1人だけもう3杯飲んでますよ」
 これを言ったのはもちろん俺なんかじゃない。俺はこんな綺麗事、気のきいたようなきいていないような、とにかくイケメン風なことを言うようなキャラでもない。
 しかし、周りを見渡してみると、誰もがキョトンとしているのが目に写る。
 誰が言ったんだ? 今の声は、誰だ?
「どうしちゃったの澤崎くん」
 三木林先輩が首を傾げて言う。
「お前誰だ?」
 小沼先輩が酒をテーブルに置いて言う。
「あんた……気持ち悪い」
 夢見が目を細めて言う(むかつく)。
「酔っぱらってんのか? でもいつもと違う酔い方だよな……」
 西条先輩が俺の顔を覗き込んで言う。
 え、俺何かした? てか、何か言ったか? まさかさっきの台詞……。いやそんなまさか、俺があんなイケメン臭丸出しの口調でイケメン臭丸出しの台詞でイケメン臭を丸出しにするわけがない。そんなわけはないのだ。

 

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