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ミステリー

探偵の眼・御影解宗の推理【サンライズ出雲・Life Game】12

   

 ライバルからの問題を出題された。御影と闘っている意識はなくても、サンライズ寝台列車での約束を果たそうと山神は出題を果たす。

 しかし御影のサポートなしに由真は自力で回答をしていく。底力をみせる由真の意気込みに圧倒されるばかりだった。
 

 そんな個人の抱える気持ちに反して、規則性が吹き飛ぶ出来事が…。それはマス目を進むうえで活路をみいだす逆転の手でもある。

 番組側の波乱を巻き起こすルールに御影は──

 

 出題する者は誰に当たっているのかはわからない。そのため出す側も緊張はする。

「この男が出すのか、俺も出番あるかもしれない──」

 優勝候補の一角を担っている。なんといってもクイズ王と張りあう連中の一人であるからだ。

 御影はパソコンの前で姿勢を正しキーボードに指を置いた。すでにパソコンは通信に繋がっていて検索エンジンのブラウザが口を開いている。

 いつでも情報のキーワードをたたきこみ御影の問いに返答をくれるだろう。

 由真の出番が終わりサイコロを振っていた。

「おいおい、すげーな由真ちゃんは…」

 山神が出した問題を即答した。難なくだ。山神は有名な大学を卒業し、あの上埜や田井とともにクイズ番組に何度も出演している男からの出題だ。

 御影はただの数合わせ、自虐するように自ら下目で見はじめていた。

 まさかとは思ったが、あの山神が出雲にまつわる問題を出題した。

 出題する側は何でもいいはずだ。この地にまつわることでなければならないわけではない。

 これまで出題しているのは出雲にまつわる問題ばかりだということがわかった。

“駅前で一番人気の弁当は?”

「まったく、なんだってそんなご当地問題を出したのか」

 出雲出身者で参加しているのは由真だけだった。確率からして当たるわけがない。そう山神はおもったのかもしれない。もしくは見下すために力の差をみせつけようとして、わざと地元問題を出したのか。どちらにせよ由真が上手であったことは明白だ。

 まずは運だけで決勝戦に残った若輩者を潰す。そういう狙いがこめられているような問題だった。

 由真はサイコロを手にとり振った。しかし今度のサイコロの六面は変わらないが数字がおかしかった。1~6ではなく、1、5、8、10、15、20という目だった。

「なんだこれ、こんなの聞いてないぞ。6のところが20って、出たら一気に20マス進めるのか」

 御影はルールの冊子を開いて見直した。やはり書いていない。しかしこれはチャンスだった。

 由真は10を出した。

「おし、やった!」

 御影は自分のことのように出た目に歓喜をあげた。

 すぐに冷静になると、この出た目についてはほかのライバルにも同じ現象が起きていることだろう。

 迂闊によろこんでもいられない。六面のうち四番目に高い数字をだしたにすぎない。20が出たらかなり有利である。

 こういうときに勝負運が物を言う。けっして頭の良さには比例しない。

 そしてまだよろこべない状況はつづく。進んだ先のマス目にどんなイベントが待っているかわからない。

 立ち止まったマス目のイベントは特になかった。空白だった。そういうマスもあって安心していたが、このまま好調ともおもえないだろうと御影に余裕の表情はない。

 ほかの駒の進行具合がどうなっているかわからない。回を重ねるごとに不安が増していくとても恐いゲームであると今になってわかった。

 いつ誰がどのタイミングで優勝する者がでるかわからない。常に先手先手の必勝を考慮しないとならない。

 とはいえルールブックにない隠れたシークレットルールが露わになっていく。

「なるほど、このゲームは盤上にいる駒やサポートする俺たちにもプレッシャーがのしかかってくる」

“ゲームは意外性があるからおもしろい”。

「人生も、あっとおどかされることのほうが飽きないってわけか。テレビ番組なりの演出だな」

 観客が大いに賑わっている歓声が隔離された御影の個室を震わせていた。体感で感じる。誰がどのように進んでいるか、観客の歓声の高低差で推測していた。

 御影は大体の予想をつけながらテーブルに用紙をおいていた。そしてペンを走らせていた。

 リーダー駒は20名。由真も含めて細かく進行具合を記録をとり、推察していた。

 順調にいかないのがゲームというものだ。そして観客のハートを煽りながら手汗にぎらせ見守る中、除々に贔屓目で応援する客がついていく。

 テレビプロデューサーの手腕はおそらくこういうところまで考えている。これが放送されてテレビ画面のチャンネルを変えられないための秘策を順々に階段をあげるように盛りあげていく。いやらしい手ではある。

 順調だった由真が5巡目にして最悪の事態になった。

 由真の動きが止まり瞳孔がぶれていた。

 御影はすぐにパソコンのキーボードに手をあわせていた。いつでも検索準備はOKである。

 問題に答えられなくてもチームメイトに期待をのせてもらえばいい。すぐに解答をパートナーにとどけよう。

「バックコール」由真はついに宣言した。

 

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