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現代ドラマ

鈴子 最終回 新たな出発

   

平成29年10月、総選挙は大変な激戦となったが、〝鈴子サポーター〟の上田さん率いる「素敵な街づくりグループ」が街頭応援に参加すると、浮動票の流れは一気に「大木健一」へと傾いた。

平成29年11月1日、見事に返り咲きを果たした健一は鈴子と二人の子供に「頑張って!」と見送られ国会に向った。

そんな鈴子に「本当に国会に行かなくていいの?」と「素敵な街づくりグループ」の仲間は気遣うが、「皆はんのお蔭で夫は国会に戻れるんどすから、うちは一緒です。」と、この日もジャージ姿で公園に立っていた。

そこに会いたかった親友、水野陽子が訪ねて来てくれた。

「鈴ちゃん、あの時はごめんなさい・・」
「ええんよ、陽子はん。あれで、健一はんは目が覚めたんやから。」

手を握り合う二人にはそれ以上の言葉は要らなかった。

 

 
いざ、決戦
 

「この2年、この時を待っていたんだ。絶対に勝つぞ!」

大木健一事務所で山形所長が激を飛ばせば、ライバル陣営も、「2年の政治実績、負ける筈がない。死ぬ気で戦い抜くぞ!」と大号令がかかっていた。

どんなにしっかり準備をしていても、それで選挙に勝てる保証など、どこにもない。今回は街宣車に乗るのは健一だけではない。鈴子も、姑の雅代もそれぞれが車に乗って、マイクを握り、手を振る。

だから、人手はいくらあっても足りないところだが、思わぬ助っ人が現れた。

「こんにちは。山形所長。」
「あれ、俊夫君じゃないか。どうした?」

宮崎にいる筈の吉岡俊夫がキャリーバックを転がしながら事務所に入ってきた。

「こんな状況で、仕事なんかしていられませんよ。思い切って休みを取りました。何でもお手伝いをしますよ。」

彼はその言葉通りジャケットにスラックスという動き易い格好だ。

「そうか、よし、鈴子さんの車の運転手をしてくれ。」
「分りました。さあ、行きましょう!」
「おいおい、道は分かるのか?」
「山形さん、私はこの町で育ったんですよ。」
「あ、いや、すまん。そうだったな。」

こうして3台の街宣車が選挙区内を隈無く走り回ったが、ライバル陣営も必死、行く先々で顔を合わせた。

「大木先生、またもお会いしましたね。」
「いや、どうも。お互いに頑張りましょう。」

言葉ではこんな挨拶を交わすものの、そこには見えない火花が散っていた。

 

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