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現代ファンタジー

なな★しき ~次元管理員 七尾と志紀子~ 第21章 15秒、そして

   

【離れた場所に設置した人工シールド、三ヶ所すべての装置を起動させる】
その任務のため志紀子に与えられた時間は、15秒。
(一発勝負。失敗は許されない)
だが、起こってはならない次元震は、当初の予測よりも早く……

 

【次元壁の核を、現在地に固定する】
《そのために必要なのが、人工シールドだ。離れた場所に設置した三ヶ所すべての装置を、十五秒以内で起動させる必要がある》
 このスピードを唯一可能にするのが、志紀子の能力「次元式テレポート」だという。
 あとは、スタートの合図を待つのみとなり。
「……」
 志紀子は、改めて上空を見渡した。そこには変わらず三ヶ所で光り続ける、位置確認用の点滅がある。
(一発勝負。失敗は許されない、か)
 いま危惧されているのは、次元壁の核が引き起こす次元震。
 観測チームの予測によれば、あと数十分程度の猶予は見込まれているが、不確定要素が多い現状では、完璧な予測とも言えないらしい。
(──とにかく。次元世界の崩壊につながる次元震が起きる前に、人工シールドを起動させること。それが私の役目)
 大きく深呼吸をするも、できたらもう一つ。心を解きほぐす〝何か〟が欲しかった。
《志紀子。一分後に開始だが、今のうちに聞きたいことはあるか?》
「うーん。聞きたいことというか、七尾くんに一つお願いが」
《なんだ?》
「この任務が成功したら、七尾くんとデートしたい!」
《は!?》
 ちなみにこの通信は、音声つきの公開映像で次元管理機構にもしっかり届いている。
 おかげで、次元の向こうでざわめく幹部陣営やら司令部やら。いつの間に来たのか、慌てる七尾の隣で吹き出すグランバルまで。
「……」
 そんな音声が通信機から入ってくるのを、志紀子はそっと、でも楽しそうに聞いていた。
《お、おい志紀子……》
「私なりに考えた成功報酬のつもりなんだけど。だめ?」
《いやダメじゃないが》
「やった。約束ね」
《あ、ああ》
 開始が迫っている中で、なかなかに強引な約束の取り付けとなったが……。
 実は緊張気味だった気持ちを立て直し、これをささやかな目標として、自分の中に掲げた志紀子なのだった。
(……ああ。そういうことか)
 遅まきながらその意図に気づいた七尾は、苦笑しつつも気を引き締め直し。
《では、志紀子。五秒前だ》
「うん!」
 まず右方向にある点滅へと視線を定め、姿勢を向ける。

 ──3、2、1……

《よし行け!》
「!」
 志紀子の体が、瞬時に消えた。
 次に姿を現した場所、その人工シールド装置の真上に着地する。ほぼ同時に側面のスイッチを押すと、小さな起動音が聞こえ始めた。
「次!」
 二つ目の装置は、現在地から右斜め上。視界におさめた位置確認の点滅へ、再びのテレポートを行った。

 

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