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ミステリー

探偵の眼・御影解宗の推理【サンライズ出雲・Life Game】19

   

 前村がゲーム中の不可解な行動について御影は脅迫めいた言葉で問い詰めた。すると御影の想像どおりの経緯であることがわかった。

 出雲の秘宝についてその存在の話しを聞くと、アシスタントディレクターの大葉とクイズゲームに参加することになった。

 その一方、サブとなる前村は会場を抜け出して秘宝の在処へと単身調査にでることに──
 
 

 探偵としての御影をサンライズ寝台列車での活躍に尊敬すらしていた前村は秘宝について脅されるような態度に、御影を蔑視していた。

 秘宝を目前にしたら誰でも欲に駆られる。御影の豹変した姿に前村は落胆するが──

 

 前村が疲労困憊のところ問いただした。

 ADの大葉とチームを組んでいることを指摘した。それを公表すると脅しにちかいことを耳打ちした。

 事実だけを教えてくれるだけでいい。それだけで咎めることはしないと約束だけはした。

 御影なりの精いっぱいで一方的な交渉だった。

 探偵のそのいやらしい顔がのぞきこむように近づき、前村はのけぞるほどだったが反論の意志はなく観念したようにくちを割った。

 話を聞けばやはりプロデューサーの差し金だった。

 三人組の予備員だった前村は三人の中で一番利己的な存在でありながら余り物になってしまったことで二人に腹をたてていた。

 そのせいでプロデューサーからじきじきに大葉とチームを組んでゲームに参加するという密約のような話をえらんだ。

 サブであれば仲間にも気づかれることはない。リーダーの大葉はスタッフに顔は知れているが、そこは覆面をしての参加で問題はない。

 プロレスでも覆面レスラーはいる。それで試合が盛りあがる。

 格闘ゲームではない頭脳ゲームでも覆面参加者がいてもいいだろう。番組を盛りあげるための要因として視聴者から興味をひく。

 番組作りはそれに尽きている。

 プロデューサーの目的は大葉が盤上でゲームをしている客寄せピエロになっている最中、知的で利己的な前村にはサバイバルゲームをもちかけた。

 それが、ある秘宝をみつけてほしいと。

 前村はゲーム以上に食いついた。

「これが田井さんや上埜さんが追いかけていた謎だったのね」

 何度かテレビのクイズ番組で対戦してライバルであった二人や今大会にも参加している山神たちを出し抜けると悪魔の声がささやいた。

「カップの秘密をしっているんだな」

「カップ?」前村は首を傾げた。

 そうではないようだ。このあたりの地形と秘宝がありそうな地点を示した紙切れを手渡された。しかしそれは大まかな地図のため前村はいまだに当たりを見いだせずにいた。

 わかっていたら手当たりしだいに山肌を小さめのシャベルで掘り荒らすことはない。ピンポイントで探索しているだろう。

「そのカップってなによ、関係があるわけ?」

 前村は目を細めた。御影は自ら秘密のカップのことをくちにしてしまった。それを知ろうとする前村の凄みのある顔は太陽よりも光っていた。

「プロデューサーが探そうとしている在処が記されている地図のようなものです。それをもらったんじゃないんですか」

「えっ…」

 顔がゆがんだ。前村は突如、怒りが沸きだしたのだろう。

「どうやら波多薪さんはその地図を解読しているが、あなたに託した地図は探索する場所を大まかに絞ったものなのでしょう」

 前村の顔はやわらいだ。それは脱力感に浸ったからだ。

「最新の地図情報ってことでいいのよね、それともわたしをただからかっていたわけ?」

「そんなことをするひとではないとおもいます。だって──」

 御影はそこで言葉をとめた。

「だって、なに」

 7年越しの想いがこめられている。必要最低限の駒ですべてを根こそぎ奪い取ろうとしている男が無意味なことをするはずがない。

 前村を誘い行動へと移らせたことは意味がある。ただ前村は使い捨ての駒なのだろう。

「男のロマンですから」

 まるでバカげたような理由に、女である前村はしらけていた。

 前村はそんな御影に「あなたもゲームの参加者よね」ときりかえした。

 前村も追いこまれるがわではない。番組スタッフでなければどんな場所や状況でも対等だ。

 圧されぎみになった御影はある閃きが沸いた。

「パートナーのことは話せないが依頼人としてサブで参加している。俺が探偵なのは知っているだろ」

 前村は困惑していた。御影という人間を蔑視しながらみすえている。

「あなたはそんな感じのひとじゃない。サンライズの列車のなかではとても紳士だった。さすが名探偵氷室さんのところのひとだと、にわかに尊敬すらしていたのに」

 御影はその視線ににやついた。

「秘宝を目の前にしたら人格だって変わるもんだ。そうだろ、だからあんただってプロデューサーの話術にかかった──」

 前村は図星をつかれた。瞳孔が開くほど目を丸くさせていた。

「当初はこのゲームのサポートとして頭脳を貸していた。だが、ある目的がひそんでいることがわかった。そのカップの話を偶然プロデューサーが話しているのを聞いた。だれかに電話をしていたみたいだが、もしかしたら取り引き相手かもしれない。この出雲の秘宝の──」

 御影は得意気に話を進める。

 

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