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現代ドラマ

決して許さない 第四回 雅代を襲った悲劇

   

一家離散となった2月から早や9ケ月。

雅代は息子の明彦と音信不通にされていたが、写真だけは時々届けられたいた。

今夜も金山が写真を持ってきたが、やはり連絡先をはっきり教えてくれない。

「電話だけでも架けさせて下さい」と懇願する雅代に、金山は「預けた寺には電話は無い」と嘲り、「誰のお蔭でこんな暮らしが出来ているんだ?」と言い放つ。そして、明彦の写真を取り上げ、ビリビリに引き裂いてしまった。

堪えていたものが弾けてしまった雅代は、ハサミを掴むと、「女だと思ってバカにしないでよ!」と金山に体当たりしていった・・・

 

 
一瞬の殺意
 

11月、晩秋の東京は銀杏の葉がすっかり黄色くなり、夜ともなると、かなり冷え込んでくる。

雅代には依然として明彦からの手紙は届かないが、写真は金山が時々持ってくる。

「坊主になった訳ではないが、朝晩のお勤めには住職と一緒にお経を上げ、寺の掃除もしているそうだ。」

今夜届けられた写真には頭を丸めた明彦が作務衣姿で竹箒を持っているのが写っていた。

「明彦・・」

雅代は胸が張り裂けそうだった。写真は少し離れたところから撮っているので、顔ははっきりしないが、間違いなく明彦だ。

写真を胸に抱いた雅代は「元気にやっているのでしょうか?」と金山に尋ねたが、「大丈夫だろう。住職に気に入られているから。」と素っ気ない。

一学期の成績はどうだったのか?遠足にも行った筈よ・・思い巡らせば、巡らすほどに、会いたい、様子を確かめたいという気持ちが高まってくる。

「あの、高校の方はどうなっているのでしょうか?友だちとか、成績とか、遠足や旅行にも行ったと思いますが・・」

雅代は涙が溢れてきたが、金山は「いやあ、ごめん。何せ大分は遠いからな。様子を見に行く時間がない。住職が気に入っているのだから、心配はいらんだろう。」とつれない。

「ふざけないで下さい。」と食い下がる雅代に、金山は「俺はまじめだよ。」と答えるが、ビールを飲む顔には「うるさい」とはっきり書いてあった。
 

 

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決して許さない 第1話第2話第3話

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  1. 丸山 利子 より:

    激しい展開で驚いています、高尾の悪行や、雅代の事件や事故など展開があまりにも早くてこの先どうなるのか全く見当がつきません、そこが作者の狙いなのかもしれませんが。 また次回も読ませてもらいます。

     

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