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現代ドラマ

決して許さない 第四回 雅代を襲った悲劇

   

 
深夜の病院
 

「先生、社長、社長をお願いします!」

金山の悲鳴を聞いて、書生とガードマンがすぐさま雅代を取り押さえ、屋敷内の事務室にいた吉田秘書が社用車で会社の産業医を務める渡辺病院に担ぎ込んだ。

「どうしましたか?」
「先生、申し訳ねえ、刺されてちまって・・」

金山の腹部は包帯代りに当てたタオルが赤く染まっていたが、彼の意識ははっきりしていた。

「さあ、こっちに運んで。」
「はい、分りました。」

金山は緊急手術のため、そのまま手術室に運ばれたが、駆けつけて来た会社幹部たちは、「おい、どうなっている?」と病院まで付き添ってきた吉田秘書に詰め寄った。

「今、手術中です」

吉田秘書は事実を答えたのだが、気が立っている幹部たちは、「何をしていたんだ、このバカ野郎!」と静まり返った夜の病院の廊下に響き渡る声で怒鳴りだした。

そこに、「お前たち、静かにしろ」と太く低い、ドスの効いた声が聞こえてきた。金山の側近、太田義雄だ。

「今は騒ぎ立てる時ではないぞ。分っているのか?」
「あ、は、はい・・」
「騒げば、マスコミの格好の餌食になる。分ったら、皆はもう家に帰れ。」
「しかし・・」
「大丈夫だ。心配するな。社長はあれくらいで死ぬ訳がない。」
「せめて手術が終わるまでは・・」
「お前たちの気持ちは十分に分った。だが、やはり、ここは病院だ。社長の容態は吉田から連絡するので、すまんが会社で待機してくれ。」

太田にここまで言われると、幹部たちも従わざるを得ない。
彼らは「吉田、頼むぞ」と言い残して引き上げていった。
 

 

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決して許さない 第1話第2話第3話

レビュー

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  1. 丸山 利子 より:

    激しい展開で驚いています、高尾の悪行や、雅代の事件や事故など展開があまりにも早くてこの先どうなるのか全く見当がつきません、そこが作者の狙いなのかもしれませんが。 また次回も読ませてもらいます。

     

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