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現代ドラマ

決して許さない 第四回 雅代を襲った悲劇

   

 
見て見ぬ振り
 

修行と勉強の単調な暮らしだが、時の経つのは速い。11月ともなると、山は色が変わり、既に冬の装いになっていた。

「勉強は進んでいるかしら?」

絹代がおやつを持って二階の明彦の部屋に上がってきた。

「模擬試験の結果だと大丈夫みたい。」
「ふふふ、そう、それなら安心ね。はい、お茶。」
「ありがとう。」

山間の貧乏寺はお盆とお正月以外は訪れる人が少なく、吹き抜ける風が木々に当たる音がよく聞こえる。

「静かね。」
「うん。」

お茶を啜る絹代も、お菓子を頬張る明彦も無意識に隣の部屋に視線がいっていた。

「ふふ、やっぱり。」
「へへ、おばあちゃんも気になるんだ?」
「そうよ、居たら居たで厄介だけど、何か気になっちゃうの。」

部屋の主の高尾は朝から檀家回りに出掛けている。

「うちの檀家さんって少ないんでしょう?」
「そう、本当に少ないの。だから、檀家回りなんかしていないわよ。きっと、どこかで遊んでいるんでしょう。出掛ける前に携帯電話でレストランの名前なんか話しているから。」
「なんだ、おばあちゃんも聞いてたんだ。」
「明彦君もなの?やっぱり同じね。嫌いな人なのに。」
「ははは、そうだね。大嫌いだから、遠くに行って欲しいと思って。」

昨日、午後2時頃から何度もブ-ブ-と音が鳴り、その度に「はい、高尾です」と答えていたので、聞き耳を立てなくても、話の内容は大よそ見当がついてしまう。
 

 

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決して許さない 第1話第2話第3話

レビュー

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  1. 丸山 利子 より:

    激しい展開で驚いています、高尾の悪行や、雅代の事件や事故など展開があまりにも早くてこの先どうなるのか全く見当がつきません、そこが作者の狙いなのかもしれませんが。 また次回も読ませてもらいます。

     

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